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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第3回 高齢者施設の選び方を教えてください

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「老後は施設に入所することも考えているのですが、高齢者施設にはどのようなものがあるのでしょうか?」という質問です。

 私たち祝福家庭にとっては三代圏が同居して家族で支え合いながら最期まで自宅で過ごすというのが理想だと思います。しかし、実際にはさまざまな事情で施設に入所しなければならないということもあるでしょう。そのような場合、どんな施設を選択したらいいのかと悩まれるかたもいらっしゃるかもしれません。

 高齢者施設にはどのような種類のものがあり、そのサービスの内容はどのようなものなのかを見てみましょう。高齢者施設は大きく分けて、「公共型」と「民間型」があります。

 公共型には介護保険施設とケアハウス(軽費老人ホーム)があり、介護保険施設はさらに、自宅介護が困難な介護度の高い方が優先される「特別養護老人ホーム」、在宅復帰を目指すリハビリ重視の「介護老人保健施設」、医療処置の必要なかたが入所する「介護医療院」に分かれます。

 基本的に介護保険施設は要介護度が低く、日常生活が自分で行える「要支援」のかたは受け入れてもらえません。

 公共型の施設は費用は安いのですが、入所希望者が多く、待機期間が必要です。場合によっては数年間待機することも珍しくありません。

 ちなみに、介護施設ではありませんが、養護老人ホームという施設もあります。
 特別養護老人ホームと名前が似ているので混同しやすいのですが、こちらは経済的に困っている高齢者を支援する目的でつくられた施設で、基本的に介護保険サービスは提供されません。

 次に、民間型の高齢者施設には有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。有料老人ホームには介護付きのものと住宅型のもの、健康型と呼ばれるものがあります。

 介護付き有料老人ホームは、24時間365日介護スタッフが常駐し、生活相談員、看護職員などによる手厚いサービスを受けることができるのに対し、住宅型老人ホームは施設自体では介護サービスが提供されないため、在宅介護サービスを組み合わせて利用する必要があります。

 健康型というのは介護サービスを必要としない高齢者向けの施設ですが、全国でもあまり数は多くありません。

 次に、サービス付き高齢者向け住宅ですが、これは略して「サ高住」と呼ばれます。
 サ高住は介護・医療と連携して高齢者向けのサービスを提供してくれるバリアフリー構造の住宅です。

 他に「シニア向け分譲マンション」や地域密着型支援の「小規模多機能型施設」「グループホーム」などの施設もあります。民間型は公共型に比べて費用が高くなりますが、その分、サービス内容は充実しています。

 以上のように、一言で高齢者施設と言っても多様な種類があり、費用や入居要件も異なります。各家庭の状況はさまざまですから、それに合わせて、ふさわしい施設を選択する必要があります。

 選択肢が複数あって迷うことも多いかもしれませんが、ご夫婦やご家族でよく話し合って、何を優先して判断するかを決め、選択することが大切ではないかと思います。
 もし将来的に施設への入所を考えておられるのであれば、近隣にどのような施設があるのか、関心を持って調べておくのもよいでしょう。

 見学したり、体験入居したりすることもできます。契約などにはある程度の期間を要することもありますし、経済的な見通しを立てたり、身元保証人(家族など)の同意を得たりすることも必要になるので、余裕を持って準備するのがよいかもしれません。