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松本雄司氏の
夫婦愛を育てる16のポイント 20
8 夫婦の財布②

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第15弾として、「夫婦愛を育てる16のポイント」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 『愛の知恵袋』でおなじみの松本雄司氏が『祝福家庭』誌に連載していた「夫婦愛を育てるために」の書籍版です。男と女の違いから夫婦の愛・夫婦生活に至るまで、ポイントを分かりやすく解説し、まとめています。

松本 雄司・著

(光言社・刊『夫婦愛を育てる16のポイント』より)

夫婦の財布

財布の危機と夫婦の危機
 原因が何であれ、一家が多額の借金を背負って呻吟(しんぎん)するとき、往々にして、夫婦の関係に亀裂(きれつ)が生じやすいものです。

 たとえ、信仰をもっている夫婦でも、借金の返済に追われ続けると、心が憂鬱(ゆううつ)になります。

 夫婦間に葛藤(かっとう)が生じ、相手に対する裁(さば)きの気持ちが起きて、ついつい愚痴(ぐち)をこぼし、恨み言を言い、批判的な態度になりがちです。そのことによって、お互いの気持ちを傷つけてしまい、険悪な関係を招いてしまうことになります。

 このようなときには、妻としては特に、普段以上に、こまやかな“情の配慮”が必要です。間違っても、「あなたの働きが足りない!」というような非難を、夫に浴びせてはいけません。夫の自尊心が、深く傷つけられるからです。

 男性は、自分の働きで妻子を養い得ていないときは、そのことを指摘される前から、心の中で悔しく思い、自分を責めているのです。

 ですから、逆に、何とかしようと頑張っている夫を認めてあげることが大切です。

 まず、夫婦で穏やかに話せる場をつくって、「お父さん、いつもご苦労さん、ありがとう」と慰労し、感謝の思いを伝えたあと、夫に我が家の家計の現状をありのままに報告し、話し合うのです。そのうえで、「お父さん、私ももっと頑張るわ。二人で頑張りましょう!」と言ってくれる妻であれば、夫はどんなにかうれしいことでしょう。彼は、そんな妻をいとおしく思い、「もっともっと頑張ろう!」という力がわいてきます。

 また、夫としては、自分だけで問題を処理しようと考えず、妻の話もよく聞きましょう。

 妻の努力に対しても理解を示し、「ありがとう、苦労をかけるね」と感謝の思いを表せば、妻も心が癒(いや)され、「夫をもっと支えたい!」という気持ちがわいてきます。

 いずれにせよ、「夫婦の財布=家計の問題」については、収入面についても、支出面についても、感情的にならず、時間をかけて二人でよく話し合うことが、一番大切なことだと思います。

ピンチはチャンス
 私たちは、家計が破綻(はたん)に瀕(ひん)したときこそ、夫婦間に真の信頼や愛情があるかどうか、試されるのです。家計がピンチになったときに、その十字架を、夫にだけ、あるいは妻にだけ背負わせるということは、好ましくありません。それでは、家計の再建が成功しないばかりでなく、夫婦の信頼関係そのものが、根底から崩れてしまいかねません。

 現在は難しい時代ですから、全国どこでも、経済的に大変な苦労をしている方々と出会います。そういう中で、家計再建に取り組む上で、何らかの仕事に成功している人は、その仕事を“夫婦二人で協力してやっている家庭”が多いということに気がつきました。

 あるご夫婦は、「一時は大変な思いをしましたが、二人で頑張ったおかげで、家計を立て直すことができました。それにも増してうれしいのは、よく話し合い、苦労を分かち合ってきたことによって、以前よりもっと深い夫婦の絆(きずな)ができたことです」と言っておられました。このご夫婦にとっては、“ピンチがチャンス”になったのです。

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 次回は、「夫婦の財布③」をお届けします。