子育て道しるべ 23
父母の教育力(1

(APTF『真の家庭』169号[11月]より)

座間保裕

 今回は「父母の教育力」について考えてみたいと思います。

親子問題の対応について

 親子関係で何か問題が起こる場合があります。それは普段のコミュニケーション不足から起こることが多いので、まず親が子供に向き合ってコミュニケーションを図る必要があります。親子問題は善悪の問題ではなく、心情関係の問題であることがほとんどです。例えば、第三者が入って子供の間違いを指摘したとしても、子供がそれで納得して、問題が解決されるというケースは多くないでしょう。そして、親子の関係性の改善を図ろうとすべきなのに、縁を切る、暴力を振るうなどの行動を取ってしまっては問題の解決にならず、かえって問題が複雑になりこじれてしまいます。子供との会話をしっかりと積み重ねて親子の信頼関係を構築することが大切です。

 また、より根本的には親子問題の前に、夫婦(父母)の不和が原因となっていることも多いので、夫婦の関係性を改善することが重要なカギとなります。 

子供が不登校になったとき

 子供が不登校になってしまった場合も、いろいろな要因があり、その状態に合わせた対応が必要になります。

 子供が登校せず、引きこもっている時期はとにかく休ませ、回復するのを待ってあげる必要があります。不登校の子供に甘えさせることも必要ですが、わがままをそのまま聞いてあげる必要はありません。子供が学校に行き渋り始めた時期は、ストレスが溜まって溢れるかどうかのスレスレの状況にあると言えます。そういう時は学校に行かせることよりも、気持ちを聞いてあげることを優先させる必要があります。無理に学校に行かせると、その時は頑張っても、後で限界状況になりやすく、無理をした分、回復が遅くなる可能性があります。不登校になった子供には十分に甘えさせてあげ、スキンシップをしたり、ゆっくり話を聞いてあげたりしたらよいでしょう。ただし、甘えとわがままはきちんと区別する必要があります。

子供が問題を起こしたとき

 また、子供が何か問題を起こした場合、その子供だけが悪いのではなく、一番の責任は親にあります。親が、ただ子供を責めたり、学校や社会などに問題の責任を転嫁したりする姿勢を持っているとすれば、改めるべきではないでしょうか。むしろ家庭全体の問題が子供に表れたのだと捉える必要があります。子供の問題は神様からその家庭に与えられた宿題のようなものであり、そこに取り組みながら理想家庭に向かっていくのだと捉え、起こった問題への直接的な対応だけでなく、家庭そのものの立て直しを図る機会だと考えましょう。子供の問題は親の問題でもあるからです。