愛の知恵袋 212
楽しくてためになるサークル

(APTF『真の家庭』333号[2026年7月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

発展し長続きするための秘訣は何か

 以前、本誌で自分の個性や才能を生かしたサークルづくりをお勧めしましたが、数人の方から、「つくったグループが発展し、長続きするための秘訣を教えてほしい」という声が寄せられました。今回はそのことについてお話ししたいと思います。

 振り返れば、私も幼いころからさまざまなグループに入り、お世話になったなと思います。

 小・中学生の時はボーイスカウトに入団し、休日ごとに山中や海岸でテントを張ってサバイバルの野営訓練をしたり、マーチングバンドの練習などをしました。

 また、中学入学と同時に剣道部に入ってしごかれましたが、体を壊したのをきっかけに、ブラスバンド部に転入し、卒業まで演奏に熱中しました。

 大学では法学専攻だったこともあって、海空法(国際法)研究会と犯罪科学研究会というサークルに入って活動をしながら、一方で、銀座の社交ダンス教室にも通いました。

 社会人になってからは、仕事に集中する日々が長く続きましたが、熟年期にカウンセラーを専業とするようになってからは、その延長線上で、ボランティアサークルを立ち上げて、いろいろな活動をしてきました。

 高齢になった今は、最後のチャレンジとして、趣味を生かした新しいサークルをつくって、仲間を募りながら地道にやっていこうと思っています。

「あのころは本当に楽しかった」という経験

 私が若いころに責任を任されたある団体での経験ですが、引き受けた時の会員数は120名でした。その後、スタッフを大事にし、メンバー全員に誠意を尽くして接していったところ、一年半後には200名に増えていました。さらに、工夫を重ねながら熱意をもって進めたところ、その翌年には400名になりました。

 ずっと後になって、私が全国各地に講演に行くと、先々で、その当時のメンバーが控え室まで挨拶に来てくれて、「先生、私、〇〇です! 覚えていますか?」と言うのです。「おお~、○○さん、元気でしたか!」と握手を交わし、懐かしい思い出話になります。

 その時、不思議なことに、誰もが同じことを口にするのです。「あのころは本当に楽しかった…。毎週、日曜日が来るのが楽しみでした」と言います。聞けば、当時のメンバーたちの間では、今でも伝説のようになっているらしいのです。

グループ運営で、私が学んだ三つの教訓

 あの時代に、私は組織運営の根本ともいえる秘訣を教えられました。

 私がその会を運営するに当たって心を砕いたことはたくさんありますが、根本的には以下の三つのことでした。

 第一に、まず目の前のスタッフを大事にして、存分にやってもらうように激励したこと。

 第二に、すべての会員メンバーの顔を覚えて、声をかけ、どんな相談にものったこと。

 第三に、会の運営に当たっては、「楽しい」という要素と、「ためになる」という要素を必ず織り交ぜてスケジュールを組んでいったこと。

 私はその後も、どんな分野の活動においても、この三つのことを胸に刻んでやってきました。皆様にも、ぜひ参考にしていただければと思います。

「楽しくて、ためになる」が発展の秘訣

 そこで、「グループが発展し、長続きする秘訣は何ですか」という冒頭の質問に対する答えですが、それは、「参加者にとって、楽しくてためになる会にすることだ」ということです。

 “楽しい”というのは、心がワクワクする、おもしろい、時間を忘れる、嬉しい、心が温まる、感動する、喜びがある…というようなことです。

 “ためになる”というのは、心に深く得るものがある、知識や技術を学べる、健康に良い、仕事や生活の役に立つ、家族の愛が深まる、世の中の役に立つ…というような利点です。

 大人でも子供でも同じですが、意義があっても楽しくない集会ばかりでは足が重くなります。また、楽しいといっても遊んでばかりの集会では、意識の高い人は来なくなります。

 料理で言えば、最高の料理とは“おいしくて、体に良い料理”です。体には良いがまずい料理や、おいしいけれど体には良くない料理では、長くは続きませんよね。

 結局、成功のキーワードは、「楽しくて、ためになる」という言葉に集約されます。もう一つだけ加えるとすれば、一人一人を尊重し何か役割を担当してもらうことです。そうすればその会に居場所ができ、お客様から主催者意識に変わり、やりがいを感じてくれます。

 会の運営に当たっては、常に、この三つことを心がけましょう。そうすれば、きっと皆の満足感の高い会になり、参加者は自然と増え、長続きできるようになると思います。

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