シリーズ・「宗教」を読み解く 144
京都の殉教地で再び祈る

ナビゲーター:石丸 志信

 10月6日、この日は京都のキリシタン52人の401年目の殉教記念日に当たる。
 北海道「聖火の郷」での祈りを携えながら、古都に刻まれた殉教の地を再び訪れることになった。

 400周年に当たる昨年(2019年)は、JSLC2019(日本サミット&国際指導者会議)のために来日したドミニカ国のカルヴァン・エドワード・フェリクス枢機卿をここに案内した。
 平和大使の僧侶も駆け付け、仏教とキリスト教の代表者が和解のしるしに手を取り合って祈った。その光景が今も鮮明に思い出される。

 この時、尽力してくれた地元北山家庭教会の食口(シック/家庭連合の教会員)、平和大使らが企画して今年も記念祭が開催された。

 午前はキリスト教の歴史と伝統を学び、400年前のキリシタンがどのような信仰生活をしていたかに思いをはせた。午後、教会で追慕の礼拝をささげた後、元和キリシタン殉教地で火刑の時刻に合わせ花束を供え、52人一人一人を思い浮かべながら祈った。

 福者となった52人の殉教者は、厳しい迫害下にあって覚悟を決め、信仰に殉ずることを善として喜んで生命をささげた。だが、神の国の到来を見ないでこの世を去った無念さは残っていたはずだ。

 その恨(ハン/恨み)を解放したいと精誠を尽くした祈りは、彼らの魂に届いたように思える。鴨川の川面に映る夕陽がきらめき、辺りも輝いて晴れ晴れとした気持ちになった。