自叙伝書写 感動体験集
第61回 書写が私を変えてくれた

(福岡県、22歳 女性)

 私が書写を始めたのは家族書写がきっかけでした。妹が書写をしていて、小さな事でも願いがかなうことを知り、自分もしようと思ったのです。

 書写を続けて国家試験にも合格することができました。

 私は大学を卒業し栄養士として就職をしました。これも書写で願ったことでした。職場では、まず調理作業からやるということだったので、頑張ろうと思っていましたが、現実は甘くありませんでした。

 初めての業務にもかかわらず、「4年制大学を卒業しているんだからできるだろ」などと上司に言われて毎日のように激しく怒られる日々でした。
 他の社員もそういう目で私を見て、雰囲気はとても悪かったのです。調理の作業よりも上司に言われることが気になってしまい、失敗をしては怒られていました。

 一日が終わり家に帰っても、「ただいま」さえ言えないほど疲れていました。前はご飯を食べることが好きで、たくさん食べていましたが、就職して食事が喉を通らないほどのストレスを感じるようになりました。

 仕事に行く前はため息が止まりませんでした。「朝から10回以上、ため息をしている」と家族から言われました。

 職場では上司に対する恐怖心も出て、怒られるたびに泣きそうな気持ちになり、逃げ出してしまいそうになりました。揚げ句の果てには「仕事を辞めたい」と家族に訴えるほどでした。

 そんなある日、母から「“職場の環境が良くなるように”という願いで書写をしたら」と言われ、書写で今の状況が変わるのかと思いつつ、わらにもすがる思いで毎日書きました。

 それでもあまり状況は変わりませんでした。そのことを母に話すと「その上司が幸せになるよう願ってみたら」と言われ、私は耳を疑いました。嫌いな上司の幸せなど願えるはずがないと私は思ったのです。
 でもその時の母の顔はとても真剣なものでした。心は納得しませんでしたが、その人が幸せになるよう書写をしました。

 半月が過ぎたころ、私はまた仕事で失敗してしまい、明日は怒られると落ち込んでいましたが、当日は言われる前に自分から精いっぱい謝りました。
 すると、いつもはいびるように怒ってくる上司がその時は優しく、「今度からはするなよ」と言いました。

 次の日、今度は上司が分かりやすく作業を教えてくれたのです。私はそのことがすごくうれしくて真剣に聞きました。

 少しずつ私の考えが変わってきました。失敗したら真摯(しんし)に受け止め、「次に生かそう」と考え、前向きに仕事をしました。自分が変わると少しずつ周りの人たちが変わってきて、仕事を手伝ってくれるようになり、会話も増えていろいろ教えてくれました。

 怒られてもその人の立場で考えられるようになり、「はい、分かりました」と素直に言えるようになりました。ご飯も前のようにおいしく食べられるようになりました。

 書写をしなかったら、私がここまで変わることはできなかったでしょう。書写は私の人生を大きく変えてくれたのです。私はまだ22歳ですが、この経験はとても大きな財産になるだろうと思っています。