コラム・週刊Blessed Life 125
三峡ダム決壊の恐れあり

新海 一朗(コラムニスト)

 長江流域の豪雨は、6月以降、やむことなく続いています。6300㎞というと途轍もなく長い大河ですから、その水量も半端ではありません。

 三峡ダムは、武漢と重慶の真ん中あたりに位置しています。このダムの建設は1993年の着工で、完成が2009年です。江沢民主席と李鵬首相の決定で、建設が始まりました。その巨大さから言えば、まさに化け物です。「よくもこんなものを造ったなあ」というのが、見た人々の感想でしょう。

 最近、中国の「百度」などのニュースサイトが、「三峡ダムは既に力を尽くしました」という不安な言葉を伝えていることから、多くの人々が、これは三峡ダム決壊の予告であると不安を募らせています。

 どういうことでしょうか。

 多くのSNSなどで、豪雨が長江の洪水を引き起こしていることを報じていますが、そのありさまは、尋常ではありません。
 三峡ダムは7月12日に水位が150mに達しました。続いて、7月14日には155.14mとなっています。これは、ただ水位が上昇しているというのではありません。危険を察知して、三峡ダムは6月29日から放水を開始しているといわれますから、放水が行われても、水位が上昇し続けるほどの大豪雨が長江流域を襲っているということです。

▲長江

 台湾メディアの「三立新聞網」によれば、三峡ダムは毎秒23,900立方メートルの水を排出していますが、一方、毎秒32,000立方メートルの水が流入しているということで、その差し引いた分の水がたまり続ける状態にあります。警戒水位は145mとされていますから、7月14日時点で10mも超過しています。

 三峡ダムの放水が中流、下流域の街や田畑に影響を与えないわけはありません。新型コロナウイルスで甚大な被害を被った武漢は、今度は、洪水で街が浸水状態に置かれており、一難去ってまた一難といった状況です。

 江西省には、鄱陽湖(はようこ)という中国最大の淡水湖がありますが、琵琶湖の4.7倍の面積という広さからしていかに大きな湖であるかが分かります。この鄱陽湖の水位が、7月9日には21mに達し、警戒水位を1.5m上回ったことにより、14もの堤防が決壊しました。それによって、地元の周辺の15の村が水没してしまいました。

 長江流域を襲っている豪雨がもたらす洪水は、収まる気配がありません。今後、7月下旬から8月上旬にかけて、さらに豪雨はひどくなるだろうという予測があり、そうなれば、三峡ダムが決壊する可能性は、極めて大きくなると見られます。

 「三峡ダムはすでに力を尽くしました」という言葉がSNSでどんどん拡散され、実際のところ当局(中国政府)は、ダムの決壊は時間の問題だと見ているに違いないと、読者に余計な想像力を働かせる結果になっています。

 三峡ダムの決壊…。そうなる可能性を誰が否定できるでしょうか。もし決壊したら、上海の街も終わりだろうと推測すれば、それは中国の終わりを象徴する世紀末的な地獄絵となるかもしれません。