『平和の母』から学ぶ13の人生の道しるべ 2

生まれたことに深く感謝する

浅川 勇男

 「平和の母」シリーズ第2弾。自叙伝書写の第一人者、浅川勇男氏による「『平和の母』から学ぶ13の人生の道しるべ」をお届けします。

 人生に行き詰まったとき、障壁を克服して道を開く魔法の言葉があります。

 「ありがとう」

 人は良い事があったとき「ありがとう」を発しますが、人生、そう良い事ばかりが続くわけではありません。むしろ、家族不和、病気、事故災難、経済困窮など、「有り難くない」ことの連続です。

 実は、この「ありがとう」の言葉は不幸な時こそ効果のある言葉なのです。
 あるおばあさんがいました。
 このおばあさんは、一人暮らしで、人々に愚痴や不平不満を言い続けていました。特に嫁に対してひどかったのです。

 三人の孫が町内にいたのですが、嫁はおばあさんの家に孫を連れていくことはありませんでした。姑(しゅうとめ)の愚痴に耐えられなかったのです。おばあさんは寂しさとわびしさの中で困り果てていました。

 ある日、おばあさんは、「『ありがとう』を毎日唱えると、良いことがある」と聞きました。
 最初は「そんな馬鹿な」と一笑に付していましたが、意を決して唱え始めました。朝起きて、お経のように「ありがとう」を繰り返して唱えました。朝に昼に夜に、「ありがとう」「ありがとう」と…。

 不思議なことに、「ありがとう」を繰り返すたびに、感謝の心が湧いてきました。時に、涙も出てきました。毎日、約千回唱えました。

 ある日のことです。
 玄関から「バアちゃーん」と呼ぶ声がします。かわいい孫の声でした。玄関に出ていくと、一番幼い孫が立っています。その後ろには、嫁がいました。

 嫁は、「この子が突然、バーバに会いたいと叫んで泣きやまないので、連れてきました」と話しました。

 おばあさんは、走り寄る孫をしっかり抱き締めました。涙がこみ上げてきて止まりませんでした。嫁もその姿を見て泣いていました。

 孫が帰った後、おばあさんはふと考えました。
 「“ありがとう”を千回で孫一人。とすれば…」。

 おばあさんは次の日から、なんと、3千回、「ありがとう」と唱えたのです。

 祈願は成就しました。
 孫3人が毎日のように家を訪ねるようになったのです。

 「ありがとう」という言葉は、有り難いことを引き寄せるのです。だから、不幸な時ほど、発したらいい言葉なのです。

 人類の涙をぬぐう平和の母、韓鶴子夫人は、もっと深く「ありがとう」を言うべきだと語られています。

 「私たちはみな、生まれたことに対して深く感謝しなければなりません。この世に生を享けた人の中で、無意味に生まれた人はいないのです。…誰であっても、自分自身を取るに足らないものとして扱ってはなりません。宇宙の聖なる作用によって生まれた貴い存在であることを、心の底から悟るべきなのです」(韓鶴子総裁自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』64ページ)

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