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映画で学ぶ統一原理 9

(この記事は『世界家庭』2018年9月号に掲載されたものです)

ナビゲーター:渡邊一喜

『天使のくれた時間』
2000年。125分。

人生の分岐点で違う選択をしていたら……
手放したもう一つの人生を見せられる

前編 第6章 予定論

 過去のある出来事を思い返し、「あのとき違う選択をしていたなら……」と考えることはないだろうか。歴史に「もしも」はないと言うが、統一原理的には「もしも」はありうる。人間の選択(責任分担)が復帰摂理を左右してきたからだ。

 今回は、そんな人間の選択を題材にした映画を紹介したい。ニコラス・ケイジ主演の『天使のくれた時間』だ。

 主人公のジャック(ニコラス・ケイジ)は大手金融会社の社長として、ウォール街でしのぎを削る日々を送っている。そんな彼には、過去に恋人のケイトとの関係を自らの夢のために断ち切ったという悲しい記憶があった。

 クリスマスイブの夜、ジャックは、コンビニでの小さないざこざから、ある黒人青年と出会う。その青年との奇妙なやり取りがあった翌朝、目を覚ました場所は見覚えのない庶民的なベッドだった。隣に寝ている女性は、元恋人のケイト。なんと昨夜出会った青年は天使であり、そこはケイトと別れずに共に暮らすことを選択した、現実とは違うもう一つの世界であった。

 奇妙でありながらも逃げようのない状況を受け入れる努力をするジャックだったが、家族との関わりの中で、切り捨てたはずの愛情の大切さに気づき始める。真の豊かさとは何か。人生における大切なものを教えてくれる、すてきな作品だ。

 この物語を予定論的にはどう解釈することができるだろうか。ジャックは、過去の選択によって手放したもう一つの人生を天使によって見せられた。しかし選択によって人生が変わるのは当然であり、それだけで予定論的とは言えない。重要なのは「責任分担」という概念である。それは私たちが取るべき選択のことである。

 なぜ天使がジャックに、家庭を持った人生を見せたのだろうか。それは、その人生こそがジャックが取るべきだった選択であり、責任分担だったからだろう。物語の結末は、現実の世界に戻り、あの日別れた空港でパリにたとうとするケイトに出会う。そして……。彼の人生における神の一つの予定が成就し始める。

 私たちにはあるべき姿、なすべきことが、神の予定として与えられている。そしてそれが成就するかどうかは、それぞれの責任分担次第だ。この映画は、自身に対する神の予定をより深く考える材料になる。

(『世界家庭』2018年9月号より)

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