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お父さんのまなざし 2
コミュニケーション

(『グラフ新天地』453号[2006年3月]より)

 もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 男手ひとつで三人の娘を育てるお父さんの、愛情溢れる子育てコラムを毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

コラムニスト 徳永 誠

 わが家は父子家庭である。父親である私のPTA活動は、上の子が小学校に入学すると同時に始まった。

 ベルマーク係から始まって、運動会のパトロール係、××係、○○委員、△△委員……エトセトラ、エトセトラ。

 学校行事や授業参観も、皆勤賞とはいかないまでも、かなりの高出席率。いつしか、クラスのお母様がたからも、“お父さん”を超越して“お母さん”と呼ばれる栄冠を頂いた。
 圧倒的多数をお母さんたちで占有する保護者同士の親睦会でも、隣に座ったお母さんの弁によれば、私は完全に“お母さん”と化して、何の違和感もなくその場に溶け込んでいるのだそうだ。

 当たり前のこと、かもしれない。「子どもを見守ろう……」、そう決心して、上の子の入学とともに私自身も一緒に小学生になった。

▲筆者の娘さん(当時12歳)が描いた絵より

 PTAの委員や役員を務めるようになると、学校内外の各種研修会に出席する機会が多くなるのだが、何度か集まりに参加するうちに気が付いたことがある。

 親と子のコミュニケーション……。

 「コミュニケーションが大切!」「でも、コミュニケーションって難しい!」「だから、コミュニケーションが問題なのよ!」と、親と子のコミュニケーションをめぐる話題に事欠かないのがPTAの研修会である。多くの親たちは子どもとどのようにコミュニケートしたらいいのか悩んでいるのである。

 専門家の先生の○○論や××論、先輩お母さんたちの体験談に耳を傾け、「う~ん、なるほど」と、うちに帰って勢いわが子に向き合ってみる。が、なかなか思うようにはいかない。
子どもたちに「きょう学校どうだった?」「楽しかった?」と尋ねる言葉もむなしく、「別に……」「ふつう……」のひと言に、三日坊主どころか、一晩も持たず、父は寂しく引き下がるのみである。

 いまだに子どもとのコミュニケーションは不得手だが、父として子どもたちにしてあげられることってきっとあると思う。子どもと一緒に悩み、一緒に汗を流してみる……。

 親のまなざしが子どもたちに向けられ、子どもたちのそのまんまをしっかり受け止めてあげられること……、コミュニケーションってそういうことなのかもしれない。

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 次回もお楽しみに!