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映画で学ぶ統一原理 6

(この記事は『世界家庭』2018年5月号に掲載されたものです)

ナビゲーター:渡邊一喜

『そして父になる』
66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞。120分。

親としての自らを省みると同時に、神と人との親子関係を考える

後編 緒論

 2013年、是枝裕和監督、福山雅治主演、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞して話題になった作品である。テーマは「親子」である。ストーリーには大きな山場を作らない工夫がされ、瞑想的かつ自省的な雰囲気で一貫している。登場人物の発言は自然でありながらも、慎重に言葉が選ばれており、その一つ一つに重みがある。

 エリート建築家の二宮良多(福山雅治)は、やりがいのある仕事と幸福な家庭に恵まれ、充実した生活を送っていた。良多と妻の間には6歳の息子・慶多がいる。慶多が私立の小学校に無事に合格し、入学をしたある日、良多のもとに慶多を出産した病院から連絡が入る。夫婦が病院を訪れて告げられたのは、出産時に新生児を取り違えたという事実だった。

 取り違えた息子たちをどうすべきか。親子のつながりを決定するものは、「血」なのか、「愛した時間」なのか。

 これは良多が本当の父親になる物語だ。映画の後半で、彼は「父であること」の本当の意味をつかみ始める。そして一度は手離すことを決断した慶多に対する、ざんげとも取れるシーンで終わる。

 復帰摂理は人間の過ちから始まった。人間が神様の元を離れたのだ。しかし、神様はその人間を捨てず、再び真の親子に戻る道を選ばれた。それは人間が神様の元に帰る歴史であるが、神様が人間の真の親になろうとし続けられた歴史であると見ることもできるのではないだろうか。

 親としての不足さをさらけ出す良多を、神様にそのまま重ねることは難しいかもしれない。しかし、自ら身をかがめ、必死にわが子を愛そうと努める良多の姿に、堕落人間に対して、それでも親であろうとされる神様の姿を、思わず重ねてしまった。シンプルに、「父母の愛」を問い直すきっかけとして見るほうが、見方として正しいと言われるかもしれない。しかし、それだけでは味気ない気もする。よい芸術は、時に作り手の意図以上に、受け手に多くを読ませるものだ。

 復帰摂理歴史は、真の親子像を求めた歴史でもある。この作品を通じて、自らの親としての姿を省みると同時に、神と人との親子関係を思い起こすことができるはずである。(『世界家庭』2018年5月号より)

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