シリーズ・「宗教」を読み解く 2
宗教は人の道を示すビジョン

ナビゲーター:石丸 志信

 聖書の「箴言」の中に、「幻(ビジョン)がなければ民は堕落する。教えを守る者は幸いである」(箴言2918)という言葉がある。宗教は、時代や文化、人々の心霊の基準に応じて、さまざまな形態を帯びているが、共通しているのは、人々を幸福に導こうとしていること。ここでいう「ビジョン」が意味するものと同じ働きをしてきたと言えないだろうか。

 ある宗教学者は、「宗教は、人生に究極的な意味付けをする、秩序だった意味の体系(コスモス)であり、人間がいかに生きるべきかを示す解釈的ビジョンである」 と言っている。そのように見れば、幸福を求めて充実した人生を生きていこうとする人々にとっては、不可欠なものが宗教的な営みであり、広く人生行路そのものであるともいえる。
 また、同じビジョンを共有した「共同体」が世界に広がり、今日では、キリスト教、イスラーム、仏教、ビンズー教などの世界宗教文化圏を形成しているのが今日の世界である。