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心のあり方 31
手抜きをせずに誠を尽くす

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第11弾、『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』を毎週木曜日配信(予定)でお届けしています。
 なお、この記事に記載されている「自叙伝『平和を愛する世界人として』」のページ数は創芸社出版のものです。

浅川 勇男・著

(光言社・刊『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』より)

第八章 あらゆることに精いっぱいの誠を尽くす

手抜きをせずに誠を尽くす

 人は誰でも幸福を求めて生きています。では、どうしたら、幸福を得ることができるの
でしょうか? 文鮮明(ムン ソンミョン)先生は「あらゆることに精いっぱいの誠を尽くす」ことだと言われます。

 「精いっぱいの誠を尽くす」とは、全身全霊で愛し続けることです。自分の全てを愛する人のために捧げ尽くすことです。精いっぱいの「精」と、誠を尽くすの、「誠」を合体させると「精誠」となります。あらゆることに「精誠」を尽くすことで、真(まこと)の幸福に至るのです。言い換えれば、手抜きをしないことです。人は尽くしたにもかかわらず、好ましい結果が出ないと、手抜きをしたくなります。「精誠」とは、手抜きをせずに、愛し続けることなのです。

 かつて、手抜き建築を設計して逮捕された設計士、建築士がいました。ビルやマンション建築では設計者は住人の命を預かっています。建築は設計どおりに施工されるからです。

 地震や暴風雨に耐えられる建物を設計しなければなりません。ところが、この建築士は、原価を下げて収益を上げるために、鉄筋の数を規定よりも少なく設計したのです。殺人と同罪です。骨組みを手抜きされたマンションは、軽度の地震で倒れて、住民の命が危険にさらされるからです。建築ですら、手抜きすれば、倒れるのです。

 では、夫婦関係や家族関係はどうでしょうか。あなたは夫婦関係、家族関係では、互いに、愛の手抜きをしていませんか? もし、そうだとすれば、ささいな言葉のやり取りの“地震”で、家庭は倒壊してしまうでしょう。貧しさや病気などの“暴風雨”で、簡単に崩壊するでしょう。ビル、マンションよりも強固であるべき高層建築が夫婦なのです。

 あらゆることに「精誠」を尽くすとはどういうことなのでしょうか。大きなことや自分の気に入ることのみに力を注ぐことではありません。「あらゆること」に対してなのです。家庭の主婦であれば、化粧や髪形、服装に時間をかけて、掃除、洗濯を適当に行えば、手抜きしたことになります。ましてや、ご主人が家を出たあと、化粧や髪形にたっぷり時間をかけるのは、夫に「精誠」を尽くしているとはいえません。

 ご主人の場合、大きな顧客を大事に扱い、小さな顧客を粗末に扱えば、あらゆることに「精誠」を尽くしたことにはなりません。へたをすると、全ての顧客を失うことになります。かつて、国民的歌手の三波春夫さんが言ったように、「お客様は神様」なので、全てをお見通しなのです。

 ある会社のトップセラーは、お客様を大切にして億単位の営業実績を上げます。その一方で、トイレ掃除のおばさんに頭を下げて、「御苦労様です。ありがとうございます」と言って感謝するそうです。上司だけではなく同僚や後輩の面倒をよく見るそうです。分け隔てなく人を大切にする姿勢が、お客様からの信頼をかちえているのです。

 あるタクシーの運転手がいました。この方は、最高の実績を上げ続ける人です。その秘訣(ひけつ)を次のように語っています。

 「お客様を差別せず、誰でも、大切に扱うことです」。

 ある大雨の日のことです。急な雨だったので、行き交う人はびしょぬれです。しかし、タクシーにとってはありがたい日です。タクシーを必要とする人が多いので、運転手は、人を選ぶことができるからです。できれば、メーターが上がる遠距離に行くお客様を乗せたいところです。

 車を走らせていると、いかにも貧相な老人が呼び止めたそうです。ずぶぬれの老人を乗せればシートが汚れ、しかも、短距離しか乗らないかもしれません。一見すると、そんな人なのです。売り上げを考えると見過ごしたほうがよさそうです。しかし、この運転手さんは、そうはしませんでした。どんな人でも差別せず、大切に扱う人だったからです。

 ところが、お客様を乗せて仰天しました。そのみすぼらしそうな老人は、大会社の社長だったのです。そして、三時間かかる遠距離を指定したそうです。一日の売り上げはその人一人で十分でした。帰りは、余裕で海釣りを楽しんで帰ってきたそうです。「タクシーは人生です」と語ってくださいました。

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【み言訓読タイム⑧】
*自叙伝「平和を愛する世界人」より

 私たちはあらゆることに精いっぱいの誠を尽くすべきです。それも一日、二日ではなく、常にそうすべきです。刀は一度使っただけで磨かないと、切れ味が悪くなってしまいます。誠も同じです。毎日刀を鋭く磨き、刀を研ぐという心で、絶え間なく継続すべきです。(自叙伝71―72ページ)

 どんなことでも誠を尽くせば、我知らず神秘の境地に入っていくようになります。筆を握った手に誠心誠意の一念を込めて、「この手に偉大な画家が降りてきて私を助けよ」と祈りつつ精神を集中すれば、天下の耳目を驚かすような絵が生まれます。(自叙伝72ページ)

 「誠を投入せよ! 眠けの中でも投入せよ! へとへとになるまで投入せよ! おなかが空いても投入せよ!」と何度も何度も自分に言い聞かせ、ありとあらゆる反対とデマの中にあって、種を蒔(ま)く心情で祈りました。そして、その種は大きく育って必ず穫り入れられるだろうし、韓国で穫り入れが難しければ、間違いなく世界で穫り入れられるだろうと考えました。(自叙伝148ページ)

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 次回は、「精誠を尽くして建てた塔は崩れない」をお届けします。


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