コラム・週刊Blessed Life 96
南の島々を訪ねて
首里城炎上は何を意味するのか

新海 一朗(コラムニスト)

 117日から11日まで、そして1130日から12月4日まで、合計10日間にわたる南の島々への所用と観光を兼ねた旅を行いました。
 南の島々といっても、セブ島やバリ島のことではありません。沖縄本島と宮古島それに石垣島のことです。

 沖縄本島では、那覇、糸満、豊見城、浦添、宜野湾、沖縄、うるまの各市で用事を済ませ、土地の人々からいろいろな話を聞くことができました。沖縄の歴史、風土、基地問題、中国の沖縄への接近、実にさまざまな情報が頭の中に詰め込まれた状態になりました。

 飛行機で、さらに南に位置する宮古島とそれよりもっと南の石垣島を訪ねると、沖縄本島もそうですが、それよりもさらに動植物の生態系が変わり、東南アジアや中南米の雰囲気に一層似た景観が広がります。

 宮古島には山がなく、川もなく、真っ平らな平野があるのみといった地形で、稲作農業ができず、サトウキビ畑が広がっています。島を取り囲む海はどこまでも美しく、砂浜の砂は非常に細かいパウダー状の白い砂です。まさに南の楽園といってよいでしょう。

 宮古島市と名乗るとおり、島には5万人以上の人々が暮らしています。日本本土からの客と中国、台湾、韓国、東南アジアからの観光客がひっきりなしに訪れ、にぎわいのある宮古島です。
 一方、海上保安庁の船が停泊する港もあり、尖閣諸島周辺への監視体制を怠らない日本政府の緊迫した状況が見て取れます。500人規模の自衛隊も駐屯しています。

 宮古島とは対照的に山があり、川もあり、稲作も行われているのが石垣島です。石垣島も市であり、宮古島よりやや少なく48,000人が暮らしています。石垣市の中には、尖閣諸島が含まれています。石垣島は、海と山の両方を楽しめる自然があり、石垣島を愛する人々が少なくありません。

 香港の高度な自治の維持か、それとも中国の介入と抑圧かを巡って、香港で向き合うアメリカと中国。このような騒乱の治まる気配が見えない香港。そして香港の余波を受けて、台湾情勢がどうなるか、次の総統選挙が取り沙汰される台湾。こうした南シナ海から東シナ海一帯への現在の危機を感じざるを得ない立場に置かれているのがまさに沖縄県(沖縄本島および宮古市、石垣市など)です。

 そういう時に首里城の炎上(1031日未明)が起きました。一体、これは何を意味するのか。日本政府が管理管轄を行っていた首里城ですが、2019年に入って、いよいよ沖縄県に管理管轄の責任を委譲した瞬間、炎上とは何なのか。

 沖縄県の管理責任は間違いなく問われなければなりませんが、出火の原因もはっきりしない(はっきりしているはずです)といった曖昧な調査報告では、玉城デニー知事の姿勢に大いなる疑問を持たざるを得ません。
 そして復興の資金の要請だけは安倍首相にしっかりとお願いする抜け目なさ。中国に擦り寄るような姿勢しか見えない知事の姿には、日本の安全保障を考える片鱗も見えません。

 美しい南の島々がやがて中国の手に落ちるのを、首里城炎上は警告しているのでしょうか。