トランプ大統領は再選できるのか!?
~1年後の米国大統領選挙の行方~(後編)

(第4回 ここがポイント! ビューポイント〈プレゼンター:木下義昭〉より)

 外交・安保問題を強力に推進するには、指導者の任期がポイントです。

 代表的な国家を見てみましょう。

・中国:任期が無制限となり、習近平・国家主席と王岐山・国家副主席による「習近平核心体制(習・王終身体制)」が事実上確立。

・北朝鮮:金正恩、任期は無期限。

・ロシア:プーチン大統領の任期満了は2024年。1999年に首相に就任して以来、首相、大統領職を重ねる。

 ここが、第3のポイントです!

 アメリカ国民は、こうした世界の指導者に対抗できる、強いアメリカ大統領を求めているのです。

 トランプの国民へのメッセージを見てみましょう。
 「Make America Great Again(偉大なアメリカよ、再び!)」

 保守層、さらに、現状に不満を持っている層、中間層から貧困層をターゲットにしていることがよくわかります。
 というのは近年、国力を低下させているアメリカのパワーを、精神的にも、軍事的、経済的にも、もう一度取り戻すのだ、というメッセージが端的に表されているからです。

 アメリカはプロテスタント、ピューリタンの国家です。
 トランプは、支持母体のプロテスタント「福音派」の要請に応えています。南部バプテストを中心とする福音派の8割が、大統領選でトランプを支持しています。

 ここが、第4のポイントです!

 トランプは福音派の票を固めるため、副大統領に敬虔(けいけん)な福音派のマイク・ペンスを選んでいます。

 また、最高裁や連邦判事に保守派を選ぶと公約。イスラエルの首都をエルサレムと認定し、米大使館をエルサレムに移転しました。

 ユダヤ教と必ずしも同調しない福音派ですが、「神がイスラエルの地をユダヤ人に与えた」(聖書の一節)と解釈しているので、財界に影響力があるユダヤ人はトランプを支持しています。

 アメリカという国を見る上で重要な視点があります。それは、「世界で一番であり続ける」ということです。

 分かりやすい例として、国技ともいえるメジャーリーグベースボールを見てみましょう。いわゆる大リーグです。30チームあり、内29チームがアメリカ所在、1チームがカナダ所在です。

 メジャーリーグベースボールはアメリカンリーグとナショナルリーグで構成されており、両リーグの優勝チームによる選手権試合をワールドシリーズといいます。

 ワールドシリーズといっても、日本や中南米、欧州、韓国などは入っていません。
 ではなぜ、ワールドシリーズというのでしょう? それは、「野球はアメリカのもので、他国が勝てるわけがない」と決め付けているからです。ここにアメリカの強烈なプライドがあります。

 以前アメリカには人種差別がありました。
 しかし1947年、黒人のニグロリーグの英雄であるジャッキー・ロビンソンを大リーグに加入させることを決定しました。彼の祖父はアフリカから連れてこられた奴隷でしたが、加入させることを決定したのです。
 数々の非難や罵倒を受けながらも、ロビンソンは見事に新人王に輝きました。

 ここが、第5のポイントです!

 メジャーリーグベースボールは、民主主義・資本主義大国であるアメリカの象徴なのです。
 「勝つためには何でもする。しかし、公平を守る」

 その特徴を見てみましょう。
 ストライクゾーンは打者の身長によって変化します。
 また代打やバント専門、投手においても先発・中継ぎ・リリーフ、そして代走や守備要員など、特殊な才能があれば活躍できます。
 ここに、アメリカ流の資本主義と民主主義の両立というものがあるのです。

 球場を見てもいろいろな違いがあります。これは、中世を経験していない若い国の特徴といえます。

 このように、スポーツを国造りに応用するところにアメリカの賢さ、大きさがあります。
 つまり、「強い国、偉大な国がアメリカ。アメリカは世界一であり、グレートなアメリカであり続けなければならない」というわけです。

 したがって、「Make America Great Again(偉大なアメリカよ、再び!)」、「アメリカ・ファースト」を叫ぶトランプ大統領のしたたかな大統領再選戦略が見えてきます。

 やはりトランプ大統領は「強く」見えますし、強い大統領を求めるアメリカ国民の期待に応えられる可能性が大きいと思います。

(U-ONE TV『ここがポイント!ビューポイント』第4回「トランプ大統領は再選できるのか!?~1年後の米国大統領選挙の行方~」より)

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