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お父さんのまなざし 9
ティーンエージャーの成長パワー

(『グラフ新天地』461号[2006年11月]より)

 男手ひとつで3人の娘を育てるお父さんの、愛溢れる子育てコラムを毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 「子どもを見守ろう……」そう決心したお父さんのまなざしは、家でも学校でも、真っすぐ子供たちに注がれています。

コラムニスト 徳永 誠

 長女は、十三歳。ティーンエージャーの仲間入りである。

 「思春期に入ると、父と娘の関係はなかなか難しくなるよ」と、先輩お父さんに脅かされていたその扉が開いた。筆者もいよいよティーンエージャーの父親デビューである。

 一抹の不安がなかったわけではない。しかし、中学校の入学式以来、過ぎた半年ばかりの時間を恐る恐る振り返ってみるが、今のところ特に問題はなさそうだ。…いや、むしろ、中学生になってからの方が、言葉のキャッチボールは増えている。私が投げるボールよりも娘が投げてくれるボールの数の方が圧倒的に多い。

▲筆者の娘さん(当時13歳)が描いた絵より

 家に帰っても、パソコンに向かって仕事中であることの多い父親だが、顔を見せてくれるのも、言葉を掛けてくれるのも、娘の方からである。

 話し掛けてくる機会が増えただけでなく、話の中身も随分、変化した。
 学校生活に関することはもちろん、将来の進路のこと、家族のこと、友達のこと、社会の出来事、さらには、家計のやり繰りにかかわることまで、話題は広い。
 少し前のように片手間で対応するわけにはいかなくなった。(決して、今までいい加減に対してきたつもりはないのだが…)

 父も受け身ばかりではいられない。ティーンエージャーの問題提起を受けて、頭をひねったり、インターネットで検索したり…。父娘そろって日々これ研鑽と、ここに来てにわかに忙しくなってきた。

 それからもう一つの変化は、そのスピード感である。
 身体の成長もさることながら、内面の成長が著しい。
 早回し画像の植物の生育シーンのように、日々、成長と変化を遂げているのが手に取るように分かる。
 行動にも、話す言葉にも勢いがある。これがティーンエージャーの成長パワーなのだろうか。

 「お父さん、私はこう思う、だからこうしたい! お父さんはどう思う?」「お父さんは、こう思うよ」といった、父と娘の意思の交換も多くなった。
 「マッサージしてあげる!」と、肩をもんでくれるその握力にも心の成長を感じてうれしい。

 「これは、ぼやぼやしていたら、娘に追い越されてしまうな…」。

 父は娘の成長のスピードに追いつこうと、自然と自身のねじにも巻きがかかる。

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 次回もお楽しみに!