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通いはじめる親子の心 27
価値観を伝える

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第6弾、『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第六章 価値観を伝える

価値観を伝える
 親は子供は自分のものだという感覚があります。特に日本人にはそれが強いようです。子供は親と同じような価値観を持つものだ、持ってくれるものだという思い込みがあるのです。

 親は、子供は教会に通うべきだ、礼拝に参加しなければいけないと考えています。ところが、子供はあまりそう考えていない。「お父さんやお母さんは、したらいいけど、僕はやらないよ」。こんなふうに言われるかもしれません。そうしたら、どうでしょうか。

 子供は成長とともに、自立心が湧いてきます。親から独立しようとする意欲が湧いてくるのです。それは自然なことなのです。特に思春期を迎えた子供は、親とは違っていたい、親を越えたいという気持ちが湧いてくるものです。

 そのとき、急に親の言うとおりにならなくなった、子供の気持ちが分からなくなったということにならないようにしなければなりません。そのためには、親は普段から、自分の気持ち、考え方を子供に語り、伝えておく必要があるのです。

 親子の間に特段、問題がないとき、子供が何かの問題を抱えていないとき、つまりリラックスしているときに、大事な話をするのです。

 私は娘と時々、マクドナルドに行っていました。そのときに、自分がどのようにして教会に導かれたのか、信仰生活の中で、どのような体験をして神様の愛を感じたのか祝福結婚を受ける前後の状況や、祝福を受けたときの気持ち娘が生まれたときの喜びなど、私にとって大事で、娘に伝えておきたいことを話すのです。

 そうすると、娘は、「お父さん、その話、もう五回目だよ」と言うのです。「いや、これは大事なことだからね。お父さん、これからも話すから、覚悟しておいてよ」。

 そんなふうに、何度も話すのです。一度、話したから、もういいというものではありません。大事なことであれば、何度も繰り返し話してあげるのです。何度も聞いているうちに、子供も、親はどんな気持ちで信仰生活をしているのか、何を願っているのか、親の価値観を少しずつ理解していくようになるのです。

 その理解というのも、ただ理論や理屈で納得するものではないのです。親の気持ちを共感していくようになるのです。その共感があってこそ、理解したと言えるのです。

 そういうことがなくて、いきなり「修練会に行きなさい」「祝福を受けなさい」では、子供も受け入れることができないでしょう。

 日々の生活の中で、親の価値観を伝えておかなければ、子供は共感することはできないでしょう。「原理が正しいのだから、従いなさい」と言えば、それに確信を持てていない、信頼を持てていない子供にとっては、裁きになってしまいます。(続く)

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 次回は、「努力する姿を見せる」をお届けします。


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