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通いはじめる親子の心 23
やる気を引き出す

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第6弾、『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第五章 子供を愛する

やる気を引き出す
 親は、子供のやる気を引き出したいと願っています。ところが、どのように接したらよいのか分からず、悩んでしまうことがあります。

 子供を「褒める」ことを通して、時には「叱ること」を通して、あるいは「物やお金をあげる」ことで、やる気を引き出そうとしたりします。この三つは、どれも子供に対する外からの働きかけで子供のやる気を引き出そうとするものです。

 それなりの効果はあると思いますが、本当のやる気というのは、子供自身の中から湧いてくるものです。そのようなやる気であれば、環境がどうであれ、継続していくことでしょう。

 では、どうしたら子供の本当のやる気を引き出すことができるのでしょうか。

褒めて育てる
 一つの例を通して、「褒めて育てる」ことを考えてみたいと思います。

 「A君は、とてもいい子で、よくゴミを拾ってくれたり、先生の手伝いをしてくれます。しかし、やり方が気になるのです。先生が見ていることを確認してからゴミを拾い、先生の視線を意識しながらゴミ箱に捨てます。そして、先生のところに来て、『ねえ先生、ぼく、えらい?』と聞きます。かなり頻繁に聞くのです」

 このA君は何かをして、褒められたときに、愛されたと感じているのです。ですから、褒められなければ、奉仕の実践ができないようになってしまっています。

 褒めることを行動を起こす動機づけにすると、子供は、褒めてもらうために行動を起こすようになってしまう可能性があります。褒めてくれる人がいないと、やる気が起こらない、褒めてもらわないと前進できなくなってしまうのです。つまり、他の人によって自分の価値を決める、自信のない人間になってしまいます。

叱って育てる
 親に叱られたり、脅されたりした子供は、おびえ、その不安を解消するために親の言うとおりに行動します。しかし、叱るのは、躾(しつけ)ではありません。脅しという罰を使った支配になってしまいます。それは、害こそあれ、何も良いことはありません。

 親が子供を叱る理由を考えてみましょう。親の思いどおりにならないので、腹を立てて叱っていることがあります。そうすると、子供は、「怒られない」ために行動するようになります。しかも、親に反発し、腹を立てながら行動しているのです。それは結局、子供に人を憎むことを教えていることになってしまいます。

 自分が何に腹を立てているかを見つめてみましょう。心の中に、子供に対して「〜すべきだ」という考え方がないか、問いかけてみてください。

 「〜べきだ」という思いから腹を立てているのではないでしょうか。心の中の「〜べき」が、本当に正しいかどうか判断して、それが理にかなっているならば、それを子供に教えてあげましょう。しかし、理にかなっていなければ、子供に押し付けないようにしなければなりません。(続く)

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 次回は、「『人のために生きる』喜び」をお届けします。


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