青少年事情と教育を考える 68
教員養成の拠点大学をつくる

ナビゲーター:中田 孝誠

 今の教育課題の中で大きなテーマになっているのが、教師の在り方です。一つは働き方改革です。そしてもう一つは教師の資質・能力をどう伸ばすかということです。

 文部科学省の中央教育審議会では現在、「教員養成のフラッグシップ大学」について検討しています。簡単に言うと、教員養成を先導する大学を指定する制度です。

 AI(人工知能)やビッグデータといった技術が発展した新しい社会となり、教育も一人ひとりに適した学び方が必要と言われています。そのため教師に求められる役割や資質・能力も変化し、問題発見・解決的な学び方を支えたり、マネジメント力などが重要になります。そこで教員養成を強化するため、フラッグシップ大学を指定するというわけです。

 フラッグシップ大学の目的は、産業界や教育機間などと連携して新しい教育を創造する研究開発を行う大学、教員養成ネットワークの拠点となるハブ大学、国全体の教員養成を支える基幹大学の役割を持たせることにあります。
 一言で言えば、全大学はもちろん、関係機関、自治体が連携して、国を挙げて、より高いレベルで教員養成に取り組もうということです。

 ここ数年、ベテラン教員が大量退職する時期にあり、若い教員が増えていることもあって教員の能力について不安視する声もあります。

 例えば、東京都では、公立小学校の教員採用試験の倍率が1.8倍にまで下がっています。採用者数は増えているのに受験者は減っていて、教員としての質が低下するのではないかという心配です。長時間労働の問題もあり、優秀な人が集まらないのではないかともいわれています。こうしたこともあって、今回のようなフラッグシップ大学の構想が出てきているわけです。

 一方で、若い教員は新しい教育に対応しやすいという現場教員自身の声もあります。
 子供たちを直接教育する教員養成制度を充実させることは、言うまでもなく重要なことです。もちろん、新しい教育に合わせた能力だけでなく、ベテラン教員の長年の経験による教育の両面が必要です。そうしたことも踏まえた教員養成制度が大切であるはずです。