2026.07.24 22:00

幸福学と宗教的な生き方 2
幸せの四つの因子
魚谷 俊輔
本シリーズでは、日本における幸福学の第一人者である前野隆司(まえの・たかし)氏が著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書、2013年)で述べていることを理論的な枠組みとして用いています。
幸福に影響する要因は多くあるが、人はその全ての項目を満たしていなければ幸せになれないわけではない。
そこで多数の項目の中でどれが重要な要因なのかを明らかにするために、前野隆司氏は「因子分析」という手法を用いた。
具体的には、多くの人に対して幸福に関するアンケートを行い、その結果をコンピューターを用いて因子に分解し、各因子の関係性と構造を明らかにするのである。
前野氏の研究グループが日本人1500人に対してアンケート調査を行い、幸せの心的要因を因子分析した結果、以下のような四つの因子が浮かび上がった。こうした特性を持っている人はより幸せになる傾向があるということだ。
以下、前野隆司著『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(105~111ページ)より引用する。

【第一因子】「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
*コンピテンス(私は有能である)
*社会の要請(私は社会の要請に応えている)
*個人的成長(私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた)
*自己実現(今の自分は、「本当になりたかった自分」である)
【第二因子】「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
*人を喜ばせる(人の喜ぶ顔が見たい)
*愛情(私を大切に思ってくれる人たちがいる)
*感謝(私は、人生において感謝することがたくさんある)
*親切(私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたいと思っている)
【第三因子】「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
*楽観性(私はものごとが思い通りに行くと思う)
*気持ちの切り替え(私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまり引きずらない)
*積極的な他者関係(私は他者との近しい関係を維持することができる)
*自己受容(自分は人生で多くのことを達成してきた)
【第四因子】「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子)
*社会的比較志向のなさ(私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない)
*制約の知覚のなさ(私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない)
*自己概念の明確傾向(自分自身についての信念はあまり変化しない)
*最大効果の追求(テレビを見るときにはあまり頻繁にチャンネルを切り替えない)
次回以降、これらの因子と宗教的な生き方との関係を明らかにする。