2026.06.30 17:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
中国、日本人2人拘束と現状変更~日比交渉への反発か
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、6月22日から28日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
米・イランが終戦覚書署名後初の協議(6月22日)。英スターマー首相が辞意を表明、地方選で大敗の責任(22日)。ペルー大統領選、ケイコ・フジモリ氏当選確実(24日)。米国、中国の台湾東方パトロールに対して警告(24日)。イランが貨物船を攻撃(25日)。中国の国家安全省が日比(日本とフィリピン)合意に対して警告(25日)。米、イランの軍事施設攻撃(26日)、などです。
中国が日本への反発を強め、具体的圧力をかけてきています。中国が台湾の東方で「現状変更」の試みを強化しているのです。
これは、日比が中国の動向を前提とした海洋境界の画定に向けた交渉を開始することで合意したことに対する中国の反発と言わなければなりません。台湾奪還に対する妨害計画と見ているのでしょう。
高市首相とマルコス比大統領は5月28日に東京で首脳会談を行い、共同声明で両国間の排他的経済水域と大陸棚の海洋境界を画定するための正式交渉を開始することで合意しました。主権と領土を守るための当然の協力行動です。
中国は反発を強めています。日比交渉の対象海域に含まれる台湾東方沖でパトロールや海洋調査を実施するなど、対抗措置を相次いで打ち出しているのです。
中国自然資源省は6月16~18日に、台湾東方海域で海洋環境調査を行ったと発表しました。その時同省は、「わが国の管轄海域」で自然・生態の状況を包括的に把握するためのものだったと述べたのですが、国営新華社通信は、これは「日比が中国の領土主権と海洋権益を深刻に侵害したことを受けて講じた必要な措置だ」と報道したのです。
中国国営中央テレビ系SNSアカウント「玉淵譚天(ぎょくえんたんてん)」は、6月19日、中国政府の台湾東方海域での活動に関し、「今後、台湾海峡はわれわれの視界から徐々に姿を消し、台湾島東方海域こそがわれわれが存在、管轄、統治する『近海』となる」と述べています。
深刻なのは、中国でスパイ摘発を担う国家安全省も6月25日、「中国の対抗措置は強化され、日比のたくらみは徹底的に打ち砕かれるだろう」と警告したことです。
5月、中国遼寧省・大連で日本人2人が「国家輸出入禁止貨物密輸罪」容疑で拘束されました。中国が対日輸出規制を強化しているレアアース関連製品を国外へ持ち出そうとした疑いが持たれているようです。
一人は5月18日、もう一人は25日でした。富士電機など日系電機企業の関係者です。
2023年以降、中国は反スパイ法を拡大解釈し、外国人の拘束人数が増加しています。
2010年に尖閣諸島周辺で起きた漁船衝突事件で海上保安庁は、中国人船長を逮捕しました。その時、中国の河北省で建設会社の日本人社員4人が軍事管理区域に侵入した疑いで拘束されたのです。あからさまな日本への抗議でした。
その後、時の菅直人政権が船長を処分保留で釈放すると、日本人4人も釈放されたのです。拘束者の交換でした。
中国が2014年に反スパイ法を施行して以来、少なくとも日本人17人が拘束されています。そのうち12人が実刑判決を受けています。そしてこのたび新たに2人が拘束されたのです。
しかし拘束されている日本人への対応は何一つできていません。
日本に「スパイ防止法」があり、スパイ罪で拘束されている中国人が存在すれば「道」(交換の道)はあるのです。
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