「幸せな結婚」を考える 49

第10章 結婚にまつわる三つの勘違い

運命の相手と出会えない?③

ナビゲーター:長岡 高史

 自分と出会うというのは、「自分の心と正面から向き合うこと」でもあります。
 
 ドイツの夫婦専門カウンセラーである、エファ・マリア・ツアホルト氏は、著書『誰とでも結婚して幸せになる法』の中で、「パートナーとは、スクリーンのようなもの。…(パートナーは)あこがれと不安の間に横たわる心の深い溝を映し出す鏡」であると述べています。

 人は誰でも「幸せな結婚」を願いながらも、それを本当に実現できるか「不安」を抱いています。
 「配偶者を心から愛することができるだろうか?」
 「もし貧乏になったらどうしよう」
 「仕事と家庭のバランスを取ることができるだろうか?」
 「育児ノイローゼにならないだろうか?」
 といった具合です。

 だからこそ、結婚相手には、自分が抱えている不安を取り除いてくれる相手を求めてしまいます。
 「自分好みの愛しやすい人」であったり、貧乏とは無縁の「経済力がある人」であったり。

 しかし、本来ならば、その不安は相手に取り除いてもらうものではなく、自分自身が取り除くべきものなのです。なぜなら、それは自分の心の弱さから現れるからです。

 さらに、ツアホルト氏は「自分の心の紛らわせてきた部分と向き合いなさい」と続けます。自分の心と正面から向き合い、ありのままの自分を受け入れながらも、不足な部分を強くすることが重要であり、それができないうちは誰と出会っても同じことの繰り返しになるだけなのです。

 理想の相手と出会うためには、まずは自分自身と出会いましょう。それは何も高度なカウンセリングを受けないといけない、ということではありません。そのためには、周囲の人に本気で向き合うことが一番です。親、兄弟、友達…その中で愛せない人、愛せない部分が出てきたら、それは自分の課題と認識し、いかに乗り越えるかを考えましょう。乗り越えた分だけ、自分自身が成長します。

 さあ、結論です。結婚相手を探す前に、本当の自分に出会いましょう。
(続く)