シリーズ・「宗教」を読み解く 49
IAPD-Japan会長のあいさつ

ナビゲーター:石丸 志信

 2018年12月11日に行われた日本におけるIAPD(平和と開発のための宗教者協議会)の結成式で、会長に推挙された川上与志夫・帝塚山学院大学名誉教授は、「水の儀式」の前に次のようにあいさつした。

 「一つの宗教は一つの楽器に例えられる。独奏の音色も美しいが、別の楽器を呼んで二重奏、三重奏を奏でることができる。さらに多くの楽器が集まるとオーケストラ。そこにはハーモニーがなければならない。われわれの世界はオーケストラだ。宗教が奏でるハーモニーが必要だ」

▲「水の儀式」の前の黙祷

 「これから行う『水の儀式』で水の意味をかみしめてほしい。スメタナ作曲の『モルダウ』は川の流れを描く。小さな水脈に始まり、激流となった後に穏やかな大河となり、やがて大きな音とともに大海に流れ込む。これはまさに人生を表わす」

 「人生にとって大事なことは祈り。毎日の一歩一歩が祈りでなければならない。何をしていても祈りの連続で、一日の終わりは祈りで締めくくる。ここにはいろいろな宗教のかたがいるので、それぞれの心で一分間の黙祷をささげよう」

 川上会長の言葉に促され、一同が静かに祈った。この時、それまで学術的議論を重ねていた会場が一気に静寂に包まれた。