2026.02.03 17:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
「レアアース泥を揚泥することに成功」
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、1月26日から2月1日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
中国が安保理で高市首相を非難(1月26日)。トランプ大統領、対韓関税25%に引き上げ方針示す(26日)。ガザ・ハマス、最後の人質をイスラエルに遺体返還(26日)。北朝鮮、弾道ミサイル2発発射(27日)。トランプ氏発表、FRB(連邦準備制度)議長にウォーシュ氏へ(30日)。スターマー英首相、8年ぶりに訪中し首脳会談(29日)。日英首脳会談、重要鉱物供給網で連携確認(31日)。松本洋平文科相が「レアアース泥の揚泥に成功」とXに投稿(2月1日)、などです。
松本洋平文科相は2月1日、「レアアース泥を揚泥することに成功した」とXに投稿しました。
海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が、南鳥島沖の水深約5700メートルの深海底から「レアア―ス」(希土類)を含んだ泥の試掘に成功したのです。
この試掘は、内閣府の大型研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、南鳥島(東京から約1900キロメートル離れている)の排他的経済水域(EEZ)で行われました。
探査船「ちきゅう」からパイプを伸ばし、無人潜水船で水流を調整しながら、船から注入した海水の圧力で海底の泥を船上に押し上げて回収したのです。
これは世界初の試みでした。
海底油田や天然ガス田の掘削方式に独自の工夫を加えたものです。SIPが約400億円かけて、泥を破砕する「採鉱方式」や回収用の特殊なパイプなどの機器開発を進めてきた成果です。
2022年には茨城県沖で、水深約2400メートルの泥の吸い上げに成功し、今回はその倍以上の水深でしたが、非常に大きな水圧がかかる環境でも、作動することを確認することができたのです。
レアアース(希土類)とは、スマホや電気自動車、風力発電などの現代のハイテク技術を支える17種類の金属の総称です。
例を挙げてみましょう。
ネオジムは強力な永久磁石(EVモーター、スピーカー)の原料、ジスプロシウムは高温でも磁力を保つ(風力発電、EV)素材であり、ユウロピウムはLED・デスプレイの赤色蛍光原料に、テルビウムは緑色蛍光の原材料であり磁石の性能の向上をもたらします。ランタンは、カメラレンズ、ニッケル水素電池の原材料となります。
問題は、中国です。
レアアースの輸出規制強化を他国に外交的・政治的な圧力をかけるカードとしているのです。米国が仕掛けた関税戦争において、中国だけが屈しませんでした。
現在、中国は日本に対して輸出規制を行っています。
レアアースは広く世界中に分布していますが、採掘量の約7割、精錬量の約9割を中国が握っています。
南鳥島周辺で高濃度のレアアースを含んだ泥が発見されたのは2013年のこと。その3年前の2010年に尖閣諸島沖で起きた中国漁船と海保の巡視船の衝突事件を巡って中国がレアアースの対日輸出を停止しました。この出来事を契機として日本は動き出したのです。
内閣府の大型研究プロジェクトとして2014年度以降に南鳥島沖を含む深海での資源調査が行われ、その後10年間、深海からの泥の採取や技術開発を積み重ねてきました。日本のエネルギー政策に対する戦略的取り組みが功を奏したわけです。
これまでは、深海からの資源の採掘は、海底油田や天然ガスで例があるものの、深さ約3000メートルが最大とされていました。その倍近い約5700メートルでの試掘は世界初であり、深海探査を長年携わってきた海洋研究開発機構の経験や技術が生きたのです。
今後の課題は、泥に含まれるレアアース成分の分析や、採算性の検証が課題になります。そして政府は商業化への道筋を早期に示さなければなりません。
今後の計画として、2027年2月には一日最大350トンの泥を引き上げる本格的な試掘を行う予定です。2028年3月までに採鉱コストを踏まえた採算性を報告書にまとめることになります。
南鳥島周辺については、2013年、東大研究者らが高濃度のレアアースが含まれている泥を発見しました。少なくとも1600万トンのレア―スがあるとの試算があり、国別埋蔵量で世界3位に匹敵する量となります。
今後日本が軸となって、中国に頼らないレアアース供給網構築に向かうことになるでしょう。
日本の重要性はさらに高まることになるのです。
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