家族の心を結ぶ 1

 『グラフ新天地』2004年5月号に掲載された特集記事を、編集部が再編集してお届けします。

 愛し合って結婚した、お父さん、お母さん。その愛の下に生まれた、可愛い子供たち。親子の成長を優しく見守る、おじいさん、おばあさん——。

 家庭とは本来、お互いの喜びを共に感じ合い、いつも笑いが絶えず、会話の花が咲き乱れる、うれしく楽しい愛の園です。また、社会で受けた心身の疲れを吹き飛ばし、明日への活力を養う、癒やしの場です。

 しかし今日、家庭の危機が叫ばれています。夫婦、親子、嫁姑(しゅうとめ)の間で、さまざまなトラブルが生じ、新聞やテレビを騒がす事件に発展することも、しばしばあります。

 誰よりもお互いを分かり合えるはずの家族が、なぜこのような問題を抱えるようになったのでしょうか? その原因を考えます。

〈親子〉
密接な関係故のすれ違い

 親と子は、あらゆる人間関係の中で最も密接な間柄です。そもそも子供は、父母の体の一部分だったわけです。文字どおり、子供の人生は、親の「分身」としてスタートしているのです。このように密接な関係である親子の間に、なぜすれ違いが生じてくるのでしょうか? それは、その密接さ故である、といえるのです。

 親は乳児の時から世話をしていますから、「この子のことは全て知っている」と錯覚しがちです。ところが子供は、親とは別の人格を持った人間です。成長するにしたがって主体性が芽生え、親とは違う考え方や行動をするようになります。

 つまり、親子のすれ違いの大きな原因は、親の意識の方にあるのです。子供の主体性を認め、1人の人間として見つめてあげるべきなのです。子供の人格や親子関係を否定するような言葉は厳禁です。子供が生まれた時の感動を思い起こせば、どんな親子問題も乗り越えられるはずです。

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 次回は、「いつも愛の言葉を語ろう」をお届けします。