共産主義の新しいカタチ 74

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

構造主義とマルクス主義の微妙な関係
クロード・レヴィ=ストロース (上)②

▲クロード・レヴィ=ストロース

近親婚の禁忌を普遍的な習俗と認知
 ところで、レヴィ=ストロースの結論はいわば、エンゲルス及びモーガンによる結論、「原始共産主義=原始乱婚社会」が、キリスト教的な「一夫一婦制による階級社会」の登場によって廃れてしまったとする、『家族・私有財産・国家の起源』の主張を、真っ向から否定するものでした。未開社会において「乱婚社会」が見出されないばかりか、近親婚の禁忌(インセスト・タブー)についてある特定の部族集団についてのみならず、どのような部族集団についても説明を可能にする「構造的解釈」によって、鮮やかに説明されてしまったからです。

 確かに、「社会における女性の交換」という場合、何か女性が「モノ」であるかのような扱いを受けている、としてフェミニストらが猛烈な抗議を行ったとも伝えられます。

 フェミニストが、文化人類学を引っさげてジェンダー論を展開するのにミードを援用するが、レヴィ=ストロースに関しては全く触れることがないのは、こうした事情でしょう。恐らく、多くのフェミニストは本音では、レヴィ=ストロースを「反動主義者」とかサルトル流に「ブルジョワジーの秘境的学知」と見なしているでしょう。

 ラディカル・フェミニズムの考え方を突き詰めれば、「インセスト・タブー」自体が、「ジェンダー・バイアス」の産物として、認められないからです。

 とはいえレヴィ=ストロースは、やはり「ポスト・マルクスの群像」に加える必要があります。レヴィ=ストロースのスタンスは、「反西欧」「反形而上学」という点にあり、彼のサルトル批判も、まさしくこの観点に立っています。その意味で、フランクフルト学派の派生である「カルチュラル・スタディーズ」と軌を一にしていると言えます。

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「思想新聞」2025年7月1日号より

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