青少年事情と教育を考える 32
東京都の性教育調査と新しい手引

ナビゲーター:中田 孝誠

 東京都教育委員会は8月、都内の公立中学校などを対象に性教育の実施状況を調査しました(計624校、各校長が回答)。

 主な結果は次の通りです。

1.「学習指導要領に示されていない内容(避妊法や人工妊娠中絶、コンドーム、性交等)を授業で指導している」は、全体の9%に当たる55校。このうち授業を「保護者に事前に周知している」のは73%(40校)。

2.「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う」は全体の46%。

3.「教員は、専門的知識に基づいて性教育を行うことができている」(65%)、「教員は、性教育について自信をもって指導している」(51%)など、性教育がうまく行われているという回答が半数超。

4.その反面、「性教育を行う際に、都教育委員会等から医師等の外部講師を派遣してほしい」(79%)、「都教育委員会等から、性に関する指導資料等を配布してほしい」(80%)が多数を占める。

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 2の、「指導要領に示されていない内容も必要」は、子供たちが性被害に遭わないために正しい知識を教えるべきという意味なのでしょう。メディアの多くはこの部分の結果を大きく取り上げていますが、子供たちを守るためにどんな知識が必要なのかも問い直すべきです。

 一方、4の回答からは、学校現場でも性教育の難しさに直面したり、全体で共有するような明確な指針がなく試行錯誤している様子もうかがえます。

 以前も書きましたが、都教委作成の平成16年「性教育の手引」では、保護者に指導内容や方法を説明して理解・協力を得て計画を立てることや、発達段階に即した内容であることを求めています。

 都教委は近く、この「性教育の手引」を改訂する方針です。今回の調査も改訂の参考にするために行われました。

 今春、東京・足立区の中学校の性教育授業で名前が挙がった「人間と性」教育研究協議会は、性教育の実践がまだ多くなかった1990年前後から独自の教材を作成するなどして、過激な性教育が教育現場に浸透していきました。

 今回も学校現場が都教委の指針を求めているとすると、「性教育の手引」の改訂内容が大きな影響を与えることになります。仮に「学習指導要領に示されていない内容」を認めるとしたら、結果として行き過ぎた性教育が容認される可能性がないとは言えません。
 それだけに、改訂版でどのような方向が示されるのか、注視する必要があるでしょう。