政治の怠慢、「科学技術立国、日本」が危機に!(3)

ナビゲーター:木下 義昭

 科学技術立国を掲げる日本に、今何が求められているのでしょうか?

 今後の課題を6点挙げてみましょう。

(1)政治リーダー、政府が国家の大計の必要性に目覚め、大計を立てることが急務である。

(2)公的資金の増額。基礎研究を進めることが国の役割である。自由な研究費が必要である。ただし、透明性が必要。

(3)民間の支援(オーナー企業が少ない)。寄付の控除で優遇する。民間の場合、短期的な「すぐに役立つ」ことを追求しがちなので、長期的に「役立つ」観点が必要。

(4)研究者の資金集めの能力(チームワーク)、すなわちマネジメント能力や人文系の教養が必要。人間的魅力も。

 特に日本の場合に見られる傾向ですが、スタッフを「自分の部下扱い」するようでは未来はありません。米国の場合は、「白衣を脱いだらビジネスマン」といわれます。本当に有能な人は、共通して人間的な魅力に長け、コミュニケーションが上手です。

(5)海外からのトップ学者の招聘(しょうへい)。報酬、年金制度の充実。海外からの留学生の増加。これらを通じて日本の学生に良い刺激を与える。

(6)大学院、修士課程から博士課程への進学率を高める。優秀な人が博士課程へ進学していない。就職優先で、早く「安定」を求める。修士から行く学生が多い。海外への留学が減少。

 文系学部で大学院進学が極度に減少傾向にあります。明治時代からの知的基盤造成が崩れているのです。特に、政治リーダーが育っておらず、「小粒」であると言えます。小選挙区制度ということもあり、「政治家」ではなく、私利私欲に走る「政治屋」が跋扈(ばっこ)してしまっていると言えるでしょう。

 民主党の蓮舫議員が、2009年の事業仕分けで放った「2位では駄目なんでしょうか?」という、全くあきれた発言。与党、野党とも「人材不足」と言わざるを得ません。まさに政治の怠慢が科学技術立国の未来を暗澹(あんたん)たるものにしています。
 私たち国民が政治に対する厳しい姿勢を見せなければなりません。

 人工知能研究の世界的権威、レイ・カーツワイル氏の予言を紹介します。

 2045年に「シンギュラリティ」が訪れ、人類全体に劇的な変化が訪れると、レイ・カーツワイル氏は言っています。これを「2045年問題」と呼びます。今までの技術的な常識が通用しなくなるということです。

 シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AI(人口知能)自身が自分自身よりも賢いAIを創造するという連鎖により、人間が予想だにしない変化を人間文明に与えるポイントのことをいいます。

 このことによって予想されることは以下のようなものです。

・エネルギー問題の解決
・食糧問題の解決
・貨幣の消滅
・難病・ガン等の完治
・不労社会の実現
など

 今、存在している職業の多くはAIが担当するようになるでしょう。
 「人間の存在意義」「人生の目的」など、根源的なテーマを問い直さなければならない状況を迎えるのです。
 これは、宇宙全体が一つの知性体となる時代が到来していることを意味します。

 政治リーダーは、このような「新時代の課題」をもにらんで、怠慢から脱却し、確かな国家政策を立てなければなりません。(終わり) 

(U-ONE TV『KMSビューポイント』第39回「政治の怠慢、「科学技術立国、日本」が危機に!」より)

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