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コラム・週刊Blessed Life 294
羅針盤を失った日本の政治、大漂流!

新海 一朗

 安倍政権から岸田政権へ。この政権交代は、安倍首相が2012年(平成24年)1226日の就任から辞任する2020年(令和2年)916日までの長期政権の在任期間に区切りを付け、その後の菅内閣(令和2916日~令和3104日)を経てなされました。
 岸田内閣は2021年(令和3年)104日に発足し、今日まで政権が運営されています。

 しかし岸田政権は多難な政権運営を強いられています。20%を切る支持率の急激な低下に見舞われ、内外に山積する問題を抱えて、「聞く力」の政治が効力を発揮していない現実が露呈しています。「聞く力」によって、周辺の声に流される政治になっているのです。

 岸田政権の不安定さは一体どこから来ているのか。その最も大きな原因を探ると、やはり202278日に起きた事件、すなわち「安倍元首相暗殺事件」に起因していると考えざるを得ません。

 地政学・戦略学者の奥山真司氏が、この事件に対して日本のメディアは「銃撃事件」と表現しているが、欧米のメディアでは、基本的に「Assassination」、つまり「暗殺」と表現していることを指摘しています。

 暗殺とは、政治的影響力を有する人物を秘密裏に殺害することであり、テロリズム行為の一形態に分類されるものです。
 山上徹也が安倍元首相を暗殺した犯人であるとして、この事件を片付け、真相を闇に葬り去ろうとしている日本の権力機構とメディアの姿勢が見られます。

 謎の多い事件であり、真相を徹底究明すべきであると多くの識者が主張しているにもかかわらず、犯人は山上であるから事件の解明は終わった、あとは山上が犯行に及んだ動機の解明であると言わんばかりの態度で煙に巻いている当局の姿勢に、強い疑念が持たれているのです。

 旧統一教会に恨みを抱いていた山上徹也であるということから、山上本人よりも、メディアは家庭連合(旧統一教会)に非難の矛先を向けてきました。
 その後の経緯を見ると、家庭連合の宗教法人資格を剝奪し解散させるべきであるという野党勢力の激しい糾弾の声に押され、岸田首相は解散命令請求の声を真摯(しんし)に受け止めるという形で、裁判闘争への流れが続いているという現状に至っています。

 そんな中にあって、自民党政権自体が揺さぶられるという政治と金の問題が発覚。「パーティー券と裏金作り」「キックバック」「領収証なし」「現金渡し」などの暴露の嵐が吹き荒れる事態の前に、安倍派だけでなく、各派の自民党議員全員が動揺を来しました。岸田政権はどこに向かうのか先が読めない状況に追い込まれているのが現在の政治状況です。

 次々に閣僚が辞任に追い込まれ、交代人事も不承不承に受諾するという及び腰で、不安定な政権運営しかありません。
 辞任・更迭ループの“泥沼内閣”に警戒感は高まる一方、パーティー収入疑惑は岸田派にも及び、性急な安倍派一掃はただ波紋を大きく広げるだけであると手厳しい見方も出る始末です。

 岸田政権の末期的状況は、まさに「火だるま」であり、安倍派つぶしでどうこうなるようなものではありません。

 このような事態の原因は、「安倍元首相暗殺事件」に妙に絡みついていると推測せざるを得ません。なぜなら、安倍元首相が生きていれば、これほど混乱する国会の姿は見られず、安倍派の閣僚たちが立派に岸田首相の「ぶれる」ところを補い、大所高所から安倍氏が岸田政権の目付け役として支えたであろうことが予測されるからです。