コラム・週刊Blessed Life 288
人類は量子時代に突入した!

新海 一朗

 量子コンピューターの研究は米国が先頭を走っています。
 中国が巨額の投資を行って、米国の後を追っている状況ですが、とりわけセキュリティーや軍事技術で他の国にリードされては困るという危機感から、先進諸国はその技術を競っています。

 日本では、2030年までに1000万人を量子コンピューター(量子技術)の利用者にしようという使用可能な仕組みを、実装フェーズに持っていこうとしています。

▲量子コンピューター(イメージ)

 そもそも「量子」とは何か。
 現在、宇宙は17種類の素粒子でできているといわれますが、これらの小さい素粒子は「量子」と呼ばれ、粒子のようにも、波のようにも振る舞う不思議な性質を持っています。

 従来のコンピューターでは情報を01で表しますが、量子コンピューターでは0または1、あるいはその両方を同時に取り得る「量子ビット」を使用します。
 そうすると、多数のビットの組み合わせを同時に取り上げて処理することが可能になります。

 量子コンピューターの基礎となる量子力学には「量子重ね合わせ」や「量子もつれ」といった通常の私たちの感覚では絶対に理解できないような状態が存在することが記述されています。
 このような量子の性質を使うことによって、従来の電子回路などでは不可能な超並列的な処理を行うことができるというのです。

 2019年10月、量子コンピューターが従来のコンピューターの計算速度を超える「量子超越」を達成したという論文が米国のGoogle社から発表されましたが、それは、スーパーコンピューターでは、1万年かかる計算を、グーグルの53量子ビットのマシンであれば200秒で済むことを実証したという衝撃的な内容でした。
 このニュースをきっかけに、2020年代はまさに量子コンピューター時代へ入ったと言ってよいでしょう。

 宇宙スケールで考えた場合、現代のコンピューターがどこまで進化したとしても解けない謎は数多く残ると見られますが、そうなると、近未来のコンピューターとして、量子コンピューターが宇宙解明の鍵を握ることになるだろうと期待されます。

 光さえも逃げ出すことのできない天体「ブラックホール」の仕組みは一体どうなっているのかなど、こういった謎を解明する鍵は「量子」であるというわけです。

 インターネットが普及する現代において、暗号は生活に必須のインフラになっています。
 膨大な個人情報や企業の機密情報、金融情報がネットを通じて飛び交っています。故に、他人が勝手に改ざんできないという信頼感、安堵(あんど)感を人々はますます希求しています。

 それでも、情報はしばしば盗まれ、セキュリティーは破られ、安全性を確保できません。
 しかしながら、ここで桁違いの計算能力を持つコンピューターが出現すれば、その前提は一気に崩れ去ります。

 量子には「量子もつれ」や「量子テレポーテーション」などの現象があることから、それらの利用によって、量子テレポーテーションを利用した「量子中継」でネットワークをつなぐと、インターネットは飛躍的に安全な通信網として構築できるというのです。

 量子情報技術は、安全保障にも直結するだけに各国はしのぎを削っています。
 日本も量子技術を「国家戦略」と位置付け、2020年代後半の量子暗号衛星打ち上げを計画しています。

 日本よ、「量子時代をリードする国家たれ」というエールを送ることにしましょう。