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ダーウィニズムを超えて 25

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第二章 進化論を超えて─新たな展望

二)自然選択からデザインへ

(5)統一思想の見解
 以上の事柄に対して、神によるデザイン(設計図)に基づいた創造であるという統一思想の立場から、次のように解釈できる。

①カンブリア紀の爆発において、複雑な構造を持つ大型動物の体を構築するために必要な遺伝子のすべての部品──遺伝子の道具箱──が出来上がっていた。すなわち、準備されていたのである。

②そして次に、これらの遺伝子の部品を組み立てるオペレーター、あるいはマネジャーとしてのホックス遺伝子が準備されたのである。そしてホックス遺伝子をコントロールしながら、種類に従って、次第に高次の生物が創造されたのであった。

③さらに「エピジェネティクス」によって、細胞と、個体に、それぞれ個性が与えられたのである。

 これら、遺伝子の部品の準備、オペレーターとしてのホックス遺伝子の準備、個性化のためのエピジェネティクスは、突然変異と自然選択による進化を証明するものではなく、ロゴスの作用の下で、段階的に、人間という目標を目指して、単純なものから高級なものへと創造がなされたことを示すものである。その際、一つの段階が整うのに一定の期間が必要であり、その段階が出来上がれば、次の段階の創造がなされるというようにして、創造は段階的になされたのである。それが、次の図に示すような、地質時代の区分と生物の登場に現れているのである。(図22参照)

 アウグスティヌスは、神の創造は、短期間に、それぞれ独立的になされたのではなく、一定のシナリオに基づいて、互いに関係をもちながらなされたと見ている。そして創造は進化的発展であると言うのであり、統一思想の段階的創造論に通じていると言えよう。

 5世紀の偉大な神学者であるアウグスティヌスは、『創世記』をもとに、はじまりにおいて神はすべての生きものを創造したが、それは実際に個々の生きものをただちに創造したわけではなく、「将来においてそういうかたちをとるよう、その原因の中で潜在的に」創造したのだと主張した。自ら根本原理と呼んだ進化的発展を解説するなかで、アウグスティヌスは、右のようなかたちで、自然界の因果性と創造主の因果性の両方を擁護した(*44)。

DNAの遺伝暗号は神の言(ロゴス)が組み込まれたものであり、細胞同士の作用もロゴスにしたがっている。

 ヒトゲノムプロジェクトのリーダーであり、ゲノム研究の第一人者と呼ばれている、フランシス・S・コリンズは、進化論者でありながら、The Language of Godという本を著し、DNAの遺伝暗号を神の言葉であると証言している。

 日本で発行されている科学雑誌『ニュートン』(20007月号)では、DNAの遺伝暗号は、神の設計図であるという、表紙が掲げられた。

 iPS細胞の発見により、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は、「細胞は、意志と戦略をもっている。細胞同士が緊密に情報交換をしている。したがって細胞やDNAは神様にしか造れない」と語っている(*45)。

 今日、依然として進化論を信奉する科学者が多いのも事実であるが、一方で、神の言によって生物は創造されたことを受け入れる科学者も台頭してきているのである。


*44 ロバート・オークローズ、ジョージ・スタンチュー、渡辺政隆訳『新・進化論:自然淘汰では説明できない』平凡社、1992年、386頁。
*45 NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」2014329

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 次回は、「ヒトとチンパンジーのゲノムの差異」をお届けします。


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