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信仰は火と燃えて 10
信仰と奇跡

 「信仰は火と燃えて」を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 教会員に「松本ママ」と慕われ、烈火のような信仰を貫いた松本道子さん(1916~2003)。同シリーズは、草創期の名古屋や大阪での開拓伝道の証しをはじめ、命を懸けてみ旨の道を歩んだ松本ママの熱き生きざまがつづられた奮戦記です。

松本 道子・著

(光言社・刊『信仰は火と燃えて―松本ママ奮戦記―』より)

信仰と奇跡
 翌年の夏、名古屋で伝道した竹内みつゑさんが、実地訓練のために大阪にやって来ました。ところが彼女が来て40日ほどたったころ、息子が熱を出して死にそうだからすぐ帰って来いという電報が来たのです。彼女は困って「どうしたらいいでしょうか」と相談に来ました。

▲竹内みつゑさん(左)と

 「私は行くなとも、行きなさいとも言うことはできません。あなたが帰っていけば息子の熱が下がるのか、帰っても熱はそのままあるのか、それは私には分かりません。神様に祈って、あなたの知恵と責任で考えてごらんなさい」

 私にこう言われて、彼女は必死に祈って考えたようです。神様のみ旨を進めていかなければならないことは分かっています。…しかし行ってあげたいのが親の心です。心は苦しいけれど、どうしたらいいのか、彼女は非常に心配しながらその夜は寝たのでした。

 ところが翌朝、「ママ、私やっぱり行かないわ」と、こう言うのです。その訳を尋ねると、「ゆうべ夢を見たの」ということでした。

 夢の中で彼女が歩いていると、道端で人がどんどん車にひかれて死んでいくというのです。また、水に流されて大勢の人が死んでいく。それを見て、この人たちを助けなければいけないと思っていると、「ああ、私の子供たちを助けてくれっ」という天の声が聞こえたというのです。

 「私は、神様の多くの子供を救わなければいけないんです。たった一人の自分の子供のために退くことはできないわ。だから、私は行きません」

 と、真剣な顔で言うのでした。そして、家には行かず、福岡の開拓へと出発しました。するとその3日後、再び家から連絡が来て、子供は3日間熱を出したが、3日後に熱が下がって良くなったということでした。

 彼女は、「天のお父様、私はあなたの大勢の子供を救わなければならないのに、どうして自分の子供のためだけに行くことができましょうか。アブラハムも自分の子供を天の前に捧げました。私は行きません。どうか天のお父様、彼を守ってください。よろしくお願いします」と祈って子供が死ぬかもしれないという時に、親として非常に苦しい、心が引き裂かれるような心情で前進していったのでした。その信仰があったからこそ奇跡が起こって、3日目に子供の熱が下がったという知らせが来たのです。

 こうして彼女は福岡の開拓者となり、地区長までやるようになりました。

 いろいろなことがありましたが、くず屋と路傍伝道、訪問伝道、そして日曜日のクリスチャンセンターでの早天祈祷会と私の日々の生活は変わらず、いじめられ、侮辱されながらも、神様の心情を慕いながら1963年を過ごしていきました。

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 次回は、「試練と導き」をお届けします。


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