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コラム・週刊Blessed Life 271
LGBT法案は日本国を滅ぼす悪法なり!

新海 一朗

 5月18日に「LGBT理解増進法案」なるものが国会に提出され、その後6月16日にこの法律は参院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。

 一体、この不可思議な法案の成立を誰が喜んでいるのか、理解に苦しむところです。国民の大多数はおそらく納得してはいません。
 LGBTに対する理解を増進するために、わざわざ法案まで作り、国会で法案を可決させるという途方もない尽力を見せることが果たして必要なのか、その結果として日本は良い国になるのか、甚だ疑問です。

 LGBTの騒ぎは、欧米から日本に押し寄せてきたものであり、その淵源(えんげん)は、欧米で進められた2000年から2020年頃までの同性婚の社会的承認や法制化に対する運動に発するものです。

 欧米ではLGBTに対する理解や法的な対応が進んでいるのに、日本では全然理解がないと騒ぐ推進派が存在します。そのような存在がここ数年の間に一つの社会運動を展開し、政治的主張として国会での論議を推進してきた背景があります。

 最高裁判所の戸倉三郎長官は、性別変更や同性婚などの「多様性」を巡る裁判においては、「裁判官は、広い視野と深い洞察力をもって、紛争の基礎にある多様な利害や価値観の対立の本質を柔軟に受け止めた上で、適切な事実認定や法令の解釈を行い、納得性の高い判断をする、こういった資質能力が求められております」(裁判所ウェブサイトより)と答えています。

 LGBTなどのように、社会で意見が激しく分かれている場合、立法措置は時期尚早と見なければならないという考えを、経済評論家の高橋洋一氏は述べています。
 その理由は、国会審議が紛糾すること、その後最高裁判断で違憲判決が出たらやり直しが必要となること、結局、法的安定性が確保できないということであると言っています。

 高橋氏の言うように、自民党内からも、青山繁晴氏や山東昭子氏、和田政宗氏などの反対者が出ましたし、一応賛成したものの、腑(ふ)に落ちないと感じている保守派の自民党議員は、数十人は下らないのではないかと推測できます。
 そうなると自民党内に亀裂が生じ、今後の党運営に当たって、さまざまな支障が出てくる可能性があるのです。

 最高裁がLGBTに対してどういう判断を下すのか、その判断を待ってから法案を準備すればよいと高橋氏は語りますが、全くそのとおりだと思います。
 急ぎ過ぎです。なぜそんなに急ぐのか理由を知りたいものです。何かに突き動かされているかのようにLGBT法案を成立させた理由が分かりません。

 LGBTの最大の問題は、このテーマが男女の愛に関わる問題であること、言い換えれば、結婚と家庭に関わる「夫婦の愛」に関わるテーマがそこにあるということです。
 社会も国家も、その出発点は男女一組の結婚と、その一対の夫婦が形成する家庭にあります。「社会形成」「国家形成」の公式が、男女の愛から始まっているということです。

 最高裁判所の戸倉長官が言うように、「多様性」を巡る問題においては、「広い視野と深い洞察力」「納得性の高い判断」が求められることは明らかです。
 審議も尽くさず、これほど急いだLGBT法案は、今後大きな問題になってくるでしょう。