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真の父母様の孝情を学ぶ 7
38度線、あの世とこの世の境を行き来して①

 『ムーンワールド』で連載中のコーナー、「真の父母様の孝情を学ぶ」を隔週日曜日(予定)でお届けします。
 韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(真のお母様)の自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』からの抜粋をイラストとともにつづるコーナーです。

 今回は、「38度線、あの世とこの世の境を行き来して」(7577ページ)からの抜粋です。

 「お母さんに会いに来たのかい?」

 「はい!」

 「ちょっと待ってなよ、呼んできてあげるから。飴(あめ)があるけど、食べる?」

 1948年、北の共産党による宗教弾圧が極限に達した頃、祖母と母も、腹中教の信徒だという理由で11日間、投獄されました。数えで6歳だった私は、母に会いに留置場に通いましたが、幼い私を不憫(ふびん)に思ったのか、誰もが良くしてくれました。横柄な共産党員ですら、私を見ると果物や飴をくれたのです。

 幸いにも二人は牢獄から解放されました…。祖母は、北ではこれ以上、信仰生活はもちろん、平凡な暮らしをすることさえ難しいと判断し、南に行くのはどうかと、苦しみながらも考え始めました。しかし、当時はまだ許浩彬(ホ・ホビン)が獄中にいたため、母は簡単には結論を出せず、ためらっていたのです。

 祖母は、そんな母を説得しようとしました。

 「ここにいては再臨主に出会う前に私たちが死ぬ。南に下りましょう。順貞(スンヂョン)にさえ会えれば、道が開かれるはずだよ。神様が私たちを保護してくださる」

 順貞とは、母の弟、つまり私の叔父に当たります。祖父の洪唯一(ホン・ユイル)は、平壌(ピョンヤン)が「エデンの宮」であるという啓示を受け、これに従うために残ることにしましたが、妻と娘、すなわち私の祖母と母には、南に行くよう勧めました。再臨主に出会うことが人生の目的である母は、何日も祈りを捧げた末に、しばらくの間、南に行ってとどまることに決めました。

 何とも幸運だったのが、叔父の洪順貞(ホン・スンヂョン)が日本での学業を終え、南の軍にいるという知らせが届いたことです。祖母は、ただ一人の息子である叔父に会いたくてたまらなかったのだと思います。

 一方で、いつも私に、「お前は神様の真の娘だ」と話していた祖母は、世の一切の不幸から、私を守ろうとしてくれました。

 そのようにして叔父に会うつもりで38度線を越えたのを最後に、私たち3人は南にとどまり続けることになりました。

 振り返ってみれば、天は叔父に対する祖母の切実な思いを通して、私たちが出発できるように役事されたのです。子供に対する母親の哀切な思いは、突き詰めて言えば、私たち人間を訪ねてこられる神様の切実な心情でもあったのです。

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 次回は、「38度線、あの世とこの世の境を行き来して②」をお届けします。


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