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新 堕落性の構造 64

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

18. 主体性のなさは罪観のなさ

◉自分の力を信じない日本人
 経済大国になった日本は、かつてほど対米追随ということはなくなりました。日本円は、今やドル、マルクと共に、世界通貨たり得る資格を十分もっているにもかかわらず、そうなり得ない理由の一つは、世界の金融政策は経済破綻した米国が握り、日本はそれに追随しているからです。一ドルが70円台になれば、数字上だけでも日本のGDP(国内総生産)は、米国を抜いて世界一になります。もはや世界第2の経済大国ではなく、文字どおり世界一の経済超大国になるのです。

 こんなことが起こると、だれが考えたでしょうか。米国に追随する時代ではなく、主体性をもって世界に対し、責任をとらなければならない時が来たのです。それなのに日本は、米国の顔色ばかりうかがって、主導権をとることができません。人の評判を気にする日本人の堕落性の現れといえましょう。日本人が自分の力を信じていないのです。

 もう一つ例を挙げてみましょう。

 日本の半導体産業は世界一ですが、その一つの過程にパッケージングという半導体を保護する技術があります。大阪のある小企業が、「PES」という画期的技術を開発しました。ところが日本の大企業は、「小企業がそんな技術を開発できるはずがない」と相手にしませんでした。その社長は、アメリカの「IEEE」という世界的に権威のある学会誌に論文を発表しました。ところが、欧米の大企業から引き合いが殺到し、高をくくっていた日本企業は後れをとってしまったのです。このような例は枚挙にいとまがありません。

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 次回は、「『罪の文化』と『恥の文化』」をお届けします。


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