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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

中国、「ゼロコロナ」政策を撤廃

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1219日から25日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米下院特別委、議会襲撃巡りトランプ氏の刑事訴追を勧告(1219日)。ゼレンスキー大統領が訪米しバイデン氏と会談、議会演説も(21日)。習政権、コロナ新規感染者数発表の取りやめを公表(25日)。中国軍、台湾周辺で軍事演習実施(25日)、などです。

 中国政府は1225日、これまで毎日行ってきた新型コロナウイルスの新規感染者数の発表を取りやめると発表しました。これは「ゼロコロナ」政策の事実上の撤廃となります。
 スマホを通じた行動追跡、大規模なPCR検査、広範な地域の封鎖など、約2年半続けた対策を取りやめたのです。

 14日、すでに中国政府は毎日行っている新型コロナウイルスの新規感染者数の発表で、無症状の感染者数の公表を同日からやめると発表しており、その時点で「ゼロコロナ」政策は事実上撤回されていました。

 中国政府が国民の自由を奪う極端な感染対策を見直したのは妥当です。しかし医療体制の整備を怠ったまま、大幅な制限緩和に踏み切ったのは問題でした。国際的にはすでに指摘されていたことだけに、政策的失敗と言わねばならないのです。

 撤廃の契機となったのは、国民の我慢が限界に達し、「白紙運動」など異例の政府批判や抗議行動が拡大したことです。
 工場の停止などによる経済失速や失業率の高止まり、特に若年層の失業問題も顕在化していたのです。

 1225日、浙江省は記者会見で新規感染者が1日当たり100万人を超えていると発表し、「多くの医療機関と医療従事者が膨大な圧力を受けている」と強調しました。
 今後1~2カ月以内に感染はピークに達すると思われます。1日の感染者は数百万、死者は計100万人に上ると予測されているのです。

 中国政府は対応に追われています。全国数万カ所に発熱外来を設け、退職した医療関係者の再雇用や医学生の動員を進めています。それでも対応の遅れと混乱が目立っています。特に医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な農村部では病床を増やし、高齢者へのワクチン接種を加速しなければなりません。

 2019年秋の「武漢ウイルス」では、当局の情報隠しが初動対応を遅らせ、感染爆発をもたらしました。この過ちを肝に銘じて対策を講じなければならないのです。

 しかし習国家主席はこれまで、「ゼロコロナ」政策への成果を強調してきました。体制的な優位さえ強調してきたのです。
 ところが今、追い込まれた末に政策の破綻を認めざるを得なくなりました。柔軟に路線を修正できない独裁体制の欠陥の表れです。

 一方、国民は突然、自助努力による感染防止を求められて、どう対処したらよいのか分からないのではないかと思われます。検査キットや治療薬、解熱剤は不足し、病院や薬局では連日長蛇の列をつくっている様子が報じられています。

 地方政府は今、北京に派遣する医療支援隊を相次ぎ結成しています。
 習政権としては「首都防衛」を徹底する構えです。もちろん地方からは不満の声も上がっており、異様な状態が拡大深化しているのです。
 習政権は発足以来の危機に直面しています。



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