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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第30回 障がい者福祉編⑫
特別支援学校や特別支援学級について教えてください

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「発達障害を抱える未就学の息子がいます。障がいのある子どもが学校に通う場合、特別支援学校や特別支援学級などの選択肢もあると聞いたのですが、詳しく教えてください」という質問にお答えします。

 まず「特別支援学校」というのは、障がいのある子どもや病弱な子どもに対し、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すと共に、障がいによる学習上・生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とした学校です。

 2007年以前は、視覚障害児を対象とした学校を「盲学校」、聴覚障害児を対象とした学校を「聾(ろう)学校」、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱の児童生徒を対象とした学校を「養護学校」と呼んでいましたが、2007年に制度改正が行われ、それらを一本化して「特別支援学校」と呼ぶようになりました。

 特別支援学校は通常、障がいの種別と学年でクラスを分けます。一クラスの人数は、基本的に小学部・中学部では6人以下、高等部では8人以下となっています。

 特別支援学校の教職員の多くは、通常の教員免許以外に特別支援学校の教員免許を持っています。一人一人の障がいや特性、年齢に合わせた教育を実施しており、教科書や教材も障がいに配慮されたものとなっています。

 特別支援学校の対象は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱(身体虚弱を含む)な者となっており、発達障害は含まれていません。もちろん、発達障害と共に知的障害もお持ちであれば特別支援学校の対象となりますが、発達障害だけであれば、基本的には対象外となります。

 ただし、職業教育を重視した特別支援学校の、高等部単独の「高等特別支援学校」は、発達障害のみの生徒も多いかもしれません。

 発達障害のお子さんであれば、特別支援学校ではなく「特別支援学級」に入ることが多いかもしれません。
 特別支援学級は、特別な支援を必要とする子どもが個に応じた教育を受けられるよう、小中学校に設置されている少人数のクラスです。一クラスの人数は8人が基準ですが、実際は地域によってさまざまです。

 特別支援学級は、自閉症・情緒障害、知的障害、肢体不自由、弱視、難聴、言語障害、病弱者および身体虚弱の障害種別に分かれています。
 ただし、特別支援学級を設置している学校に、上記七つのクラスが全てあるとは限りません。

 この中の「自閉症・情緒障害」特別支援学級が、発達障害などで意思疎通や対人関係に困難があったり、心理的な要因などで社会生活への適応が難しかったりする子どものためのクラスです。

 特別支援学級における教育は、基本的に学習指導要領に基づいていますが、必要に応じて障がいのある生徒に必要な知識や技能を指導する特別の教育課程が編成されています。

 特別支援学級を卒業した後の進路には、複数の選択肢があります。

 例えば、小学校を特別支援学級で卒業した子どもが中学校に入学する場合、継続して特別支援学級に在籍することもできるし、通常級や特別支援学校に変更することもできます。ただし、高校には特別支援学級が設置されていないのでご注意ください。

 特別支援学校、特別支援学級以外に、「通級指導教室」や「特別支援教室」もあります。どちらも障がいの程度が比較的軽い生徒が通常の学級に在籍しながら、週数回程度、特別の指導を受ける教室ですが、通級指導教室の場合は別の学校に移動することも多いのに対し、特別支援教室の場合は在籍校で指導を受けることができます。通級指導教室は高校にも導入されています。

 就学先は、就学相談などで確認した本人・保護者の意志を尊重しながら、市区町村の就学支援委員会が総合的に判断し、政令市または都道府県の教育委員会が最終的に決定します。

 保護者が決定に同意できない場合は、教育委員会に申し立てることもできます。

 納得がいくまで相談して、子どもに一番合った就学先を探すことが重要です。

 それでは、今回の講座はここまでにいたします。