コラム・週刊Blessed Life 242
地球大異変、急増する異常気象による大災害

新海 一朗

 COP(Conference of the Parties)、「国連気候変動枠組条約締約国会議」は、今回が27回目の会議であることから「COP27(コップ27)」と呼ばれます。

 COP27は、11月6日から20日まで、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されましたが、会議場は怒号が飛ぶなど、これまでになく、荒れ気味でした。
 先進国と途上国の対立が顕著となり、会議は「損失と被害(ロス&ダメージ)」を巡る補償問題で紛糾しましたが、途上国支援の基金を創設することで合意し、20日に閉幕しました。

 この夏、パキスタンを襲った豪雨は特に記録的な災害をもたらし、現在でも復旧は難航しています。
 6月以降、モンスーンによってもたらされた例年の10倍以上もの降雨により、パキスタンのバロチスタン州、シンド州、カイバル・パクトゥンクワ州、パンジャーブ州で大洪水が発生し、この数十年で最悪とされる洪水が同国を危機的状況に陥れました。

 8月29日、パキスタンのレーマン気候変動相は、「国土に大きな海ができて、排水するための乾いた場所がない」と語りました。
 パキスタンの国土面積は約796000平方キロメートルで、日本の約2倍ですが、被災面積は日本の本州の面積(約228000平方キロメートル)を上回っており、荒れ狂うインダス川の洪水は、ヒマラヤの雪解け水を運んで、国土の3分の1に当たる流域地帯をのみ込みました。被害総額は、少なくとも400億ドル(約5兆6000億円)といわれています。

 パキスタンの例からも分かるとおり、異常気象による「損失と被害」が甚大であるため、この費用をいかに捻出するかで、COP27は紛糾しているというわけです。
 地球温暖化は、CO₂排気ガスの主な責任を負っているのが先進国であるため、途上国は「損失と被害」に対して先進国の責任を追求する立場となってしまいました。

 ちなみに、パキスタンの場合、CO₂の比率は、世界全体のわずか1%に過ぎません。先進国が引き起こしている温暖化の被害を、途上国がどうしてかぶらなければならないのかという叫びが、途上国側にあるのは当然のことといえます。

 タイミングが悪いことに、世界は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやロシアのウクライナ侵攻などにより、先進国、途上国を問わず、全ての国が経済的に逼迫(ひっぱく)状態にあるため、異常気象による災害補償の分担金をどうするかといった議題に十分に取り組むことができていないのです。それが現実です。

 現在、世界は異常とも言える混乱状態にあることは誰が見ても明らかです。世界各国はもがき苦しんでおり、地球自体もその環境破壊がひどいため、悲鳴を上げています。
 科学の発展(自動車文明など)は基本的にありがたいことですが、副産物として、地球温暖化がもたらす災害を考えると、英知に満ちた、副作用を生み出さない科学文明の創出が、人類に求められていることは必至です。

 空気汚染、水汚染、土壌汚染、神が創造された地球を、これ以上破壊するような愚を犯さないことが必要です。異常気象と地球破壊の相関関係も見逃すわけにはいきません。
 それを止めることができるのは、人間そのものが良心に立ち返り、回復された美しい地球との共生を図ることが人類共通の普遍の願いであることに気付くことです。