世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

驚きの習近平独裁体制に

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1017日から23日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米、台湾との兵器共同生産の検討を発表(19日)。プーチン大統領、ウクライナ4州併合に「戒厳令」(20日)。英首相が辞意表明、就任1カ月余りで(20日)。米議会襲撃、トランプ氏に召喚状(21日)。韓国の前国防相逮捕、職権乱用か(22日)。中国共産党大会の閉幕式が終了(22日)。中国共産党第1回中央委員会総会開催(23日)、などです。

 予想が外れました。ここまでの「独裁」体制を考えていませんでした。
 中国は、毛沢東時代の悲劇によって決別したはずの個人独裁へと突き進んでいると言わねばなりません。

 党大会後の23日、第1回中央委員会総会(1中総会)で政治局中央委員と常務委員が発表されました。
 最高指導部政治局常務委員7人は、習氏とその側近らでほぼ固められ、習氏の後継候補は置かれませんでした。
 権力の極端な集中は、内外への強硬路線が加速する可能性を孕(はら)みます。台湾危機は近いと見なければなりません。

 党大会が終わり、第20期中央委員会第1回総会が23日に開催され、党大会で選出された新任中央委員が出席しました。
 1中総会は、党指導部を構成する政治局員24人とその中から選ばれる政治局常務委員7人と、軍指導機関の党中央軍事委員会7人を決定、承認する場です。習氏は軍事委員会主席も引き続き務めることとなりました。

 公表された最高幹部常務委員の序列を見ておきます。
 ①習近平総書記、②李強(63歳)上海市党委員会書記、趙楽際(65歳)中央規律検査委書記、王滬寧(67歳)中央書記局書記、蔡奇(66歳)北京市党委書記、丁薛祥(60歳)中央弁公庁主任、李希(66歳)広東省党委書記です。

 驚くべきことは、李克強氏と汪洋氏が外れたことです。栗戦書氏、韓正氏の引退はほぼ決まっていましたが、4人が退任、代わって昇格したのは、いずれも習氏の地方勤務時代からの腹心や忠誠心が厚いとされる幹部だったのです。

 来春の全人代で退任する李克強氏に代わって首相に就くのは序列2位に当たる李強氏とみられます。しかし李氏を巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大による上海市のロックダウンで混乱を招いたとして、手腕を疑問視する見方がありました。

 さらなる衝撃は、退任した李克強氏に近い胡春華副首相(59歳)が、2期目の政権で名を連ねていた政治局員から外れたことです。
 胡錦涛前総書記(79歳)や李克強氏の政治基盤だった共産主義青年団(共青団)に連なる勢力の「排除」が一気に進んだ形となっているのです。

 王毅外相(69歳)が政治局員に昇格し、台湾問題に直結する中央軍事委員会では制服組トップの副主席に張又侠氏(72歳)が留任。何衛東65歳)が副主席に昇格しました。皆、習氏との近さが特徴です。
 新体制は台湾早期奪還体制と言わなければなりません。



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