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お父さんのまなざし 8
親子プロジェクト

(『グラフ新天地』459号[2006年10月]より)

 男手ひとつで3人の娘を育てるお父さんの、愛あふれる子育てコラムを毎週水曜日配信(予定)でお届けします。
 「子どもを見守ろう……」、そう決心したお父さんのまなざしは、家でも学校でも、真っすぐに子供たちに注がれています。

コラムニスト 徳永 誠

 私がPTA会長を務める小学校では、学期に一度「学校公開週間」を設けている。

 児童の保護者はもちろん、地域の人々にも授業を公開し、どの学年、どのクラスでも、自由に参観することができる。
 時間が限定されていない分、仕事で忙しい親たちでも一週間のスケジュールの中でのやりくりがしやすいので、多くの参観者を得られるというわけだ。

 そこで、この機会を利用して、PTAとしても日頃の活動の様子を広く知ってもらおうと、PTA活動の紹介パネルを作って校内に掲示しようと考えた。

 ここでいつもなら、大人だけで進めてしまうところだが、“この企画、役員たち親子で一緒に取り組んでみてはどうか”とのアイデアに、さっそく土曜の午後、家族ぐるみで学校に集合することになった。

 名付けて、「親子プロジェクト」。

 PTA活動の様子を記録した写真と色紙だけを用意し、あとは、行事ごとにチームを編成して、子どもたちを中心に模造紙の上に自由に活動の様子を表現してもらった。

▲筆者の娘さん(当時13歳)が描いた絵より

 PTAのことはよく分からないが、図画工作なら現役の子どもたちである。

 「文字の色はどれにしよう」
 「どの写真がいいかな」
 「お母さん、これは何の写真?」
 「それなら、こっちの写真の方がいいよね」
 「この写真にはこんな吹き出しはどう?」
 「見だしはこうしようよ」
 などなど

 色紙で巧みに装飾しながら、はさみと何色ものマーカーを使いこなす。

 家でもPTAの仕事で忙しいというママの様子を、面白おかしく話してくれる子もいて、役員一同大笑いしながら、互いに顔を見合わせていた。

 大人たちはお互い知った仲だが、子どもたち同士が一緒に集まって何かをする機会はそう多くはない。
 ちょっと緊張気味に過ごしている子もいたが、作品が出来上がると、皆、満足げに記念写真に収まった。

 制作中、子どもたちからはいろいろな質問が飛び出した。
 大人たちのやる事に関心を持つ子どもたちの姿に触れながら、“PTA活動って、もっと子どもたちと一緒にするものだなと改めて気付かされた。

 お母さんたちからも、「また、親子でやれたらいいですね」と喜びの声。
 親のまなざしは、いつも子どもに向けられてこそである。

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 次回もお楽しみに!