世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

再開した米韓合同軍事演習

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、815日から21日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米軍がICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験実施を発表(16日)。米韓演習の事前訓練開始(16日)。トランプ氏の推薦候補が下院予備選(ワイオミング州)勝利(16日)。北朝鮮、黄海上に巡航ミサイルを発射(17日)。金与正(キム・ヨジョン)氏、米韓合同軍事演習に強く反発(19日)、などです。

 韓国で822日、米韓合同軍事演習が始まりました。91日まで実施する予定です。
 演習名は、「乙支(ウルチ)フリーダム・シールド(自由の盾)」。朝鮮半島有事を想定したものとなっています。

 同日、大統領府での会議で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「朝鮮半島の平和維持はわれわれの隙のない安保体制が土台になる」と述べ、演習再開の意義を強調しました。

 このような大規模野外機動訓練は2018年春以来の4年ぶりとなります。
 今年に入り軍事挑発を繰り返す北朝鮮に対する抑止力を向上させることが狙いです。演習がなければ実践的抑止力の充実はないのです。

 演習は二部構成となっており、前半は北朝鮮による攻撃を想定した首都圏防衛。後半は反撃作戦を中心に実施されます。

 内容は、大量破壊兵器の除去を想定した訓練や攻撃ヘリコプターの射撃訓練、海上での哨戒訓練、前方部隊への補給など、10種類以上を計画しており、コンピューターシミュレーションによる机上演習では、北朝鮮から攻撃を受けたとの想定で、首都圏を防衛し、撃退・反撃までの作戦の流れを確認することとなります。

 すでに述べましたように、米韓の定例演習実施は、5月の尹錫悦政権発足後初めてです。
 対北融和路線だった文在寅(ムン・ジェイン)前政権では、定例演習が中止・縮小されましたが、このたびの再開をもって尹政権は転換し、定例演習の「正常化」を進めようとしているのです。

 もちろん北朝鮮の反応は厳しいものがあります。
 817日、黄海に向けて巡航ミサイル2発を発射し、けん制しました。米韓は監視態勢を強化して合同訓練に臨んでいます。
 さらに19日、金与正朝鮮労働党副部長は関連する談話を発表し、米韓合同演習に強く反発しました。

 談話の中で与正氏は、尹氏が15日の演説で対北朝鮮支援の構想を表明した翌日に、韓国軍が合同軍事演習を開始したことに触れ、「破廉恥だ」と批判しました。

 9月1日までの訓練期間、南北関係は強い緊張状態が続くこととなります。


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