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新 堕落性の構造 2

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

1 見栄を張るということ

見栄はだれにでもある
 ある若いお母さんが、子供のPTAの参観で、学校に行くのが嫌になったと語っていました。どうしてかと聞いてみると、小学校のことですから、もちろん若いお母さん方が多いのですが、みな一番きれいな着物を着込んで現れ、髪も派手に結ったりで、子供のことはそっちのけで、服装の品評会のようなので嫌なのだということでした。恐らく、自分が飾ることに熱中する人に限って、子供の出来が悪いに違いありません。

 皆が車を買うと、今必要性がないのに無理して買い込んで見せびらかす人もいます。カラーテレビや電子レンジ、その他あらゆる電化製品を買って得意になっていたのはいいが、月賦の支払いができず首をくくって死んだなどという、笑うに笑えない悲劇もあります。

 あるサラリーマンは、家人に、自分が会社でいかに重要な人間であるかを見せるため、「遅くなるから」と言っては、東京の街を夜遅くまでブラついていたといいます。とにかくこれらはみな、だれもがもっている見栄というものです。

 これは市井の個人から団体、国家に至るまで、現れ方は様々であっても、見栄は同じです。ヒトラーが民族の祭典という歴史上有名なベルリン・オリンピック大会をやったり、スターリンがモスクワ大学という巨大な大学を建てたが、外側ばかりで中にはエレベーターもなく、30階建てのビルを老年の教授たちが息を切らさんばかりに歩かされていたり、スカルノは大インドネシアにデパートの一つもなくては恥ずかしいと、日本の援助でバカデカイものをぶっ建てたのに、所得の低いインドネシア人の利用者はほとんどなく閑古鳥が鳴いたりと、とかくバカな話が多いのです。特に独裁者ほど、こういう傾向が強いように見えます。

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 次回は、「過分な欲望=身分不相応」をお届けします。


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