シリーズ・「宗教」を読み解く13
宗教と平和

ナビゲーター:石丸 志信

 1990年代から平和観が変わり、平和運動の担い手が違ってきた印象がある。
 文鮮明総裁が1991年に世界平和宗教連合(IRFWP)を創設し、翌年には「来るべき新千年紀の平和文化の支柱は、宗教の和合なくしてあり得ない」と主張している。平和観の変化は、この動きと無関係とはいえないだろう。

 それまで、世界平和を強く訴える勢力は、ある種のイデオロギーに基づいていた。抑圧された者の恨みや虐げられた者の憎しみが運動の原動力となる傾向が見られた。ところが三千年紀を前にして、「愛とゆるしを通した和解なしには平和はないと」人々は気付き始めたのかもしれない。

 平和は神から来る。世界の諸宗教は平和を語る。
 ユダヤ教の伝承に、「神は平和であられ、そのかたの名もまた平和であるので、全てのものがその平和の中にとどまるのである」とある。

 文総裁は、「真の平和、真の幸福、真の自由は、人間から訪れるのではなく、真の神様から訪れる」と言う。