夫婦愛を育む 170
グレーゾーンを受け入れる

ナビゲーター:橘 幸世

 誰もがよりよく生きたいと願います。明確な夢や目標がある時はそれに向かって努力を続けますが、ゴールするまでの過程は、時に切なくしんどいものです。
 「きっとできる」「できないかもしれない」と、希望や不安などさまざまな思いが交錯しがちです。

 まだできない自分、頑張り切れない自分にダメ出ししたり、他の人と比較して落ち込んだり、結局できないのではないかと結果を心配したりして、苦しい期間を通過した経験のある人は珍しくないでしょう。早くそこを突破したい、抜け出したいと思います。
 そんな中にいる人に良いヒントになりそうなメッセージに出合いました。

 2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップで、日本代表が南アフリカ共和国チーム相手に史上最大の番狂わせといわれた歴史的勝利を挙げました。

 その陰の功労者の一人に、若き女性カウンセラー荒木香織さんがいます。
 国際大会では圧倒的に負け数が多い当時の日本チーム。それ故かメンバーのメンタルには負の要素が多くありました。
 その状況を改善しなければ勝てないと、彼女は「心を鍛える10か条」を掲げます。メンタルをポジティブに転換して、奇跡への土台を築いたのです。

 その第5条に「グレーゾーンを受け入れる」というのがあります。
 物事を「できる」「できない」、白か黒かの二つに分けてしまうと、できないときに心が折れてしまいます。そうではなくて、今はできないけれど、これからできる、できる途中、もうすぐだ、という感じで、「できない(黒)」から「できる(白)」への「過程(グレー)」を大切にしよう、というのです。苦しいけれど、「うまくできるプロセス」として受け入れれば、そんなにへこまないでしょう、と。

 かつて真のお父様(文鮮明総裁)はご自身の人生を顧みて、「振り返れば全て神様の愛だった」と言われました。想像を絶する苦難と幾多の迫害を通過されたかたが「全て神様の愛」と感じられる境地とは何という高みでしょう。

 一つの困難でも、心から感謝して受け入れるのに謙虚さと時間と祈りを要する私です。見方を変えれば、感謝できるようになった時点でワンステップ成長となるのでしょう。それまではいわばグレーゾーンの中。

 でもそのグレーゾーンこそ、神様が共におられ、見守ってくださり、導いてくださっている期間なのではないでしょうか。
 試練の中にある時、夢で励まされたり導かれたりすることもありますね。苦しい時は分からないけれど、過ぎてみれば、神様が共にいてくださった、そして成長できた期間となります。

 葛藤の中にある時、実は神様が一番近くにいてくださるグレーゾーンにいるんだと思うと、背中を押してもらう感じがして一歩前に進めるかもしれません。

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