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中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道

 統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。

第5回 国連改革、国連刷新としての「アベル国連」の必要性〈1〉

(中和新聞 2016年3月25日 通巻847号より)

 本シリーズでは、人類が直面している様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生ご夫妻)の平和思想に基づいて、確かな方向性を提示します。今回は「国連改革、国連刷新としての『アベル国連』の必要性」(全3回)の第1回として、国連が抱える課題について取り上げます。

■国連創設70周年記念を節目に抜本的刷新を

▲世界平和実現のために創設されながらも様々な難問を抱える国際連合(米国・ニューヨーク)

 第二次世界大戦(1939ー1945)の惨禍を深く反省した世界の国々。その中でも戦勝国として連合国の中核を成す米英仏の3か国に、中華民国とソ連(のちに中国、ロシア)を加えた5か国を中心として、二度と戦争の惨劇を繰り返さないようにするための国際的な平和機構が創案され、大戦後の1945年10月24日、「国際連合」が正式に発足しました。

 第一次および第二次の大戦は、戦闘員と民間人の犠牲者総数はそれぞれ約3700万人と8000万人とされる、途方もない犠牲者を出した空前絶後の世界戦争でした。そのため、戦争を根絶する国際的機関がどうしても必要になったのです。

 2015年10月24日、国連創設から満70年がたち、現在の国連の在り方を見直す絶好の機会となりました。その大きな理由として、冷戦終結後も世界中に広がる紛争、騒乱、テロなどの深刻な問題が、なくなる気配がないどころか、ますます事態は深刻化していることです。

 「IS(イスラム国)」のような殺りくをほしいままにする戦闘集団により、国家の体裁を繕うようなことが平然と行われている現状があるにもかかわらず、国連はその解決にほとんどなすすべを知らず、無力なのです。とりわけ21世紀に入り、「9.11テロ(2001年)」以降、キリスト教国家群(欧米)とイスラム教国家群(中東)の相性の悪さがクローズアップされることとなりました。

 アルカイダ勢力やIS勢力など、不平不満を抱える厄介なイスラム教の”はみ出し者”に対して、世界が戦々恐々とする状況が生まれました。

■問われるべき「平和創建への大きな障害」
 世界の平和と安全のために重大な責務を担うという国連の役割は、大いに評価すべきです。しかし、実際に1945年から2015年までの70年間を冷静に見つめると、世界は戦争と対立闘争に明け暮れるという生々しい現実に置かれているのが、偽らざる人類社会の姿です。

 その根底にあるものを探ると、「政治的価値観の対立相克、宗教・宗派間の対立とあつれき、国家間のエゴの衝突、民族同士の対立」など、根の深い解決困難な問題の存在が分かります。

 それだけでなく、世界の諸問題解決に全力を注ぐべき国連自体の矛盾した姿に、目を注がないわけにはいきません。「国連安全保障理事会(国連安保理)」の構造的矛盾です。

 国連安保理の常任理事国と言われる5か国(米英仏中露)は、拒否権を持つ特別な国として国連で力を持っています。

 しかし、これらの5か国は重要な懸案事項において、しばしば相互の利害を異にし、米英仏(民主主義国家)と中露(非民主主義的国家)に分かれて、それぞれ拒否権を行使し、世界の紛争問題に対する一致した解決を困難にしてきました。言わば国連70年史の前科者のような負の役割も演じ続けたという側面が、国連安保理にはあるのです。

 世界平和の創出を実現しようにも実現できないという、国連内部での矛盾と葛藤が存在するのです。深刻な問題と言わざるを得ません。

■国連の最大の問題は世界の宗教問題の忌避
 以上の考察に加えて国連改革に関して言えば、いろいろと考えるべき点がありますが、最大の問題は国連の宗教忌避の態度です。

 政治的、経済的、文化的な問題には、主に人道主義的なアプローチから取り組んできた数々の努力が見られますが、宗教問題に関しては、政教分離的な態度、すなわち”宗教は厄介なものとして取り上げない”という態度に徹してきたのです。

 しかし世界の多くの問題を見ると、直接的、間接的に宗教との関わりが多いのが現実であり、宗教には関わらないという姿勢で世界の諸問題を解決することは不可能です。

■宗教の和解と一致が世界平和創建の道
 真の父母様は、国連の在り方に対して、次のような重要なメッセージを発表されました。

 「『アベル国連』とは『平和国連』のことを言うのです。既存の国連がカイン的国連であり、紛争の国連であるのに対して、『アベル国連』は世界平和を保障する国連だからです。これこそ神様の人間創造以来、最も革命的で驚異的な事件と言わざるを得ません」(『平和経』「平和国連を通して平和天国を完成しよう」から抜粋、1446ー1447頁)

 2003年10月3日、このような「アベル国連」(平和国連、超宗教超国家平和協議会:IIPC)がニューヨークで創設された背景には、ユダヤ教とイスラム教とキリスト教の指導者代表が一堂に会し、「エルサレム宣言」(2003年5月18日)と「ワシントン宣言」(同年6月29日)を成すことができたからであると、文先生は語られています。

 すなわち、敵対していた各宗教の指導者たちが和解と一致の道を歩み、世界平和創建のために協力し合う姿勢が生まれれば、宗教が平和に対して大きな役割を果たすことができるという、宗教本来の使命に期待を抱くことができます。

 国連の中に上院を形成する「宗教国連」の部門が設置されれば、正にその国連こそ「アベル国連」「平和国連」であり、「平和を保障する国連」となります。そのような国連の出現は「最も革命的で驚異的な事件」とならざるを得ないのです。

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 次回は、「国連改革、国連刷新としての『アベル国連』の必要性〈2〉」をお届けします。

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