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コラム・週刊Blessed Life 185
中国包囲網!

新海 一朗

 「クアッド」(QUAD、英語で「4」を意味する)と呼ばれる新たな枠組みが、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国でつくられました。安倍晋三前首相の提唱によるものであり、日本が強いリーダーシップを取った「枠組み」です。

 2021年9月24日(日本時間25日)、米国・ワシントンのホワイトハウスで4カ国の首脳会談が初めて対面で開かれ、共同声明が発表されました。

 新型コロナウイルス対策、インフラ整備、宇宙の分野での協力を拡大することなどをうたった今回の会談は、「4カ国の強い結束と『自由で開かれたインド太平洋』という共通のビジョンへの揺るぎない決意(コミットメント)」を示すものであると、バイデン米大統領は述べました。

 共同声明の中に、「威圧にひるまず、自由で開かれ、ルールに基づく秩序を推進する」という文言が入っているのは、中国の覇権主義への強烈なけん制球です。

 南シナ海を囲う「九段線」内の権利を主張する中国の身勝手な軍事行為(島々の岩礁を埋め立てて軍事基地化)は、常設仲裁裁判所(PCA/オランダ・ハーグ)が国連海洋法条約に違反していることを判決(2016年7月12日)で言い渡しているにもかかわらず、中国は全くそれを無視してきた事実があります。

 それを念頭に置き、「ルールに基づく秩序への挑戦に対抗するため、国際法の順守を擁護する」と、「九段線」など全く根拠がないことを国際法で退ける構えです。

 中国から見ると、QUADは明らかに迷惑な枠組みです。「自由で開かれたインド太平洋」は、太平洋侵出をたくらんでいる中国の意図を軍事的な覇権を用いて阻止しようとする4カ国同盟、見方によれば4カ国軍事同盟のようなものにしか見えないでしょう。

 全体主義、強力な統制下に置かれ自由が圧殺された共産主義、軍事優先主義の国家、このような中国の国家システムが崩れない限り、中国の太平洋侵出は、太平洋の14カ国および2地域をチベットやウイグルと同じ運命に陥れるだけです。
 人類に不幸を及ぼす共産主義国家の膨張は断じて許されるものではありません。

 このようなQUADの「インド洋、太平洋を中国の脅威から守る」枠組みが、実質的に効力を発揮する体制として整えられる一方、「オーカス」(AUKUS、A=オーストラリア、UK=英国、US=米国)と称される3カ国が、2021年9月15日に「軍事同盟」として発足するという発表がなされました。

 軍事同盟ですから、その意味で、こちらの方は中国に対する軍事戦略を待ったなしに具体的に推し進めていくというのですから、中国としてはたまったものではありません。

 こうして見ると、QUADとAUKUS、この二つにより今後、中国の太平洋侵出やインド洋侵出を許さないという「対中国包囲網戦略」が推進されれば、中国もそう簡単には動けない、いわば中国の暴発止めの役割を果たすことは間違いありません。

 ここにおいて、中国は何としてもTPP(環太平洋パートナーシップ)協定に参加する道を開き、加盟国として潜り込みたい、太平洋の権益をつかみたいと考えているようですが、中国の意図を阻止するかのように、台湾がTPP協定に参加する意向を表明し、TPP協定を巡る台湾、中国の衝突が激しくなっているのが現状です。

 中国の焦りは大きく、「中国包囲網」をどう切り崩すか、中国は暗中模索状態にあるのです。