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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第7回 訪問介護サービスについて詳しく教えてください

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「夫婦二人暮らしです。ホームヘルパーの利用を勧められていますが、他人が家に入ることへの不安もあります。詳しい内容を教えてもらえないでしょうか?」という質問です。

 多くの人は最期まで住み慣れた家や土地で暮らしたいと望んでいます。しかし、家族の老親扶養機能が低下しているため、家族だけで介護を行うことは難しくなっています。ですから、訪問介護の役割がますます大きくなっているのです。

 利用する側からすると、最初は不安もあるかと思いますが、慣れてくると実は便利で有難いサービスだということが分かってきます。

 訪問介護は、介護福祉士やホームヘルパーが要介護者とその家族だけでは日常生活を送ることが難しくなった家庭に訪問して支援をするサービスです。

 訪問介護には大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院時乗降介助」の3種類があります。

 まず身体介護は、身体に直接触れて行う介護で、食事、入浴、清拭、着替え、排泄、移動移乗などの介助です。自立のための見守りや指導も行います。

 生活援助は、家事が困難な場合に本人に代わって行う支援で、調理、掃除、洗濯、買い物代行などがあります。

 3番目の通院時乗降介助は、介護資格を持つ運転手による乗降時介助、移送の支援です。
 乗車前後の屋内外の移動介助や受診時の受付支援も行います。

 訪問介護を利用する際は、まずケアマネージャーに相談します。どのようなサービスがどのくらいの頻度で必要かを検討し、事業所と細かい援助内容や訪問時間、利用料金などを確認してからサービスの開始となります。

 ホームヘルパーは家政婦とは違い、できないこともあるということを理解しておく必要があります。また、要介護度によって利用できるサービスの上限が決まっていることも知っていた方がよいでしょう。

 訪問介護利用のメリットは、要介護者本人のペースに合わせた支援をしてくれるので、生活リズムを崩さず、今の生活を無理なく継続できることです。

 家族の負担を軽減し、介護による共倒れのリスク回避にもなります。
 定期的に訪問してくれるので、心身の状態の変化にもいち早く気付いてもらえますし、介護がうまくできない介護者に対して適切なアドバイスや介護技術の指導もしてもらえます。

 ただ、そうは言っても、他人が家に入ることへの抵抗感があったり、家族以外の人に頼ることへの戸惑いがあったりする人もいるかと思います。

 そのようなかたは、まず「ホームヘルパーは何をする人なのか」について説明を受けてみてください。そして、遠慮せずに気になることを尋ねてみたり、家庭や本人の意向を伝えてみたりしましょう。

 その上でホームヘルパーを決定し、利用を開始したものの、どうしても相性が合わないという場合は変更することもできます。

 訪問介護に限りませんが、介護サービスの利用をためらう高齢者は、他人に頼って介護してもらうことを情けなく思ったり、申し訳なく感じたりしていることが多々あります。

 助けてもらっているという負い目から、自分の好きなやり方で行うことができず、希望や文句も言えず、不満を抑え込んでいるというケースもあると思います。

 しかし、介護する側はそういう利用者の気持ちを受け止め、本人のできることを一緒に見つけ、できない部分についてだけ必要最小限の支援をすることで本人の自尊心を大切にするよう訓練を受けています。

 そして、本人が決められることは決めてもらい、納得して受け入れてもらえるよう支援をしていますので、安心して意見や感じたことを伝えるようにしてみてください。

 また、ホームヘルパーには法律で定められた守秘義務がありますから、本人や家族の情報を外部に話すことはありません。その点もご安心ください。