ファミリーサポートコーチング講座

 「ファミリーサポートコーチング講座」は、文字どおり、より良い家族関係や人間関係を実現するために読者の皆さまをサポートするコーチング講座です。
 毎週月曜日配信予定です。皆さまの家庭生活、信仰生活、社会生活にぜひお役立てください。

第13回 ありのままを受け入れる

ナビゲーター:西森 響
監修:阿部 美樹(伝道教育局)

 今回は、ファミリーサポートコーチングの基本的スキルである「承認:ありのままを受け入れる」についてお伝えします。

【承認とは】
 一般的に、承認は、相手が言うことを「ああ、分かりました」と、事実だと認めることで、許可と同様に使われます。
 しかしFSコーチングにおける承認は、一般的な意味とは異なり、一切の批判や評価をすることなく、「ありのままの相手をそのまま自然体で受け入れる」ということです。

【マズローの欲求5段階説】
 アメリカ合衆国の心理学者アブラハム・マズローは、主体性・創造性・自己実現・成長促進といった人間の肯定的側面を強調した人間観に基づく心理学を提唱しました。

 彼は、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間には「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階の欲求があり、一つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとするとします。

 マズローによると、他者から(より高次元的には自分からも)認められたいと願う欲求が満たされると、人間は自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願って、自己実現を達成しようとすることになります。

【五つの承認力】
 それでは、承認について詳しく見てみます。

 話し方学校の学長を務める鴨頭嘉人さんは、五つの承認力、すなわち「結果承認」(つくり出した成果を承認する)、「プロセス承認」(結果に至るまでのプロセスを承認する)、「行動承認」(行動したことを承認する)、「意識承認」(行動の動機を承認する)、「存在承認」(その人の存在そのものを承認する)があると説きます。

 これらの五つの承認力は、後のものほど深い承認力です。
 最も深いレベルの「存在承認」、何かをしてもしなくても、その人の存在そのものを承認することをしてもらえると安心・安全を得て自分らしく生きていけます。

 「あなたがいてくれるだけで私はうれしい」という承認です。親が子供を思う気持ちや、祖父母の「孫は何をしてもかわいい」という心情に近いかもしれません。

【承認の効果】
 人間は存在そのものを受け入れられたと感じるときに、全てを許され、解放された気持ちになることができます。
 そして他の人から承認されると、自分自身を承認し、信じることができるようになっていきます。その結果、やる気が出る、自信が湧いてくるといった、高まった気持ちになってきて、行動につながっていきます。

 自分を承認し、他の人を承認すると、人生を楽しめるようになります。自然体で生きることができるようになります。何も飾らなくても、自分を大きく見せようとしなくても、ありのままの自分で生きていけるようになります。

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 次回は、「承認と善悪分立」についてお伝えします。