ファミリーサポートコーチング講座 9

 「ファミリーサポートコーチング講座」は、文字どおり、より良い家族関係や人間関係を実現するために読者の皆さまをサポートするコーチング講座です。
 毎週月曜日配信予定です。皆さまの家庭生活、信仰生活、社会生活にぜひお役立てください。

第9回 ラポール3 傾聴

上手に聞くためのスキル

ナビゲーター:西森 響
監修:阿部 美樹(伝道教育局)

 今回は、ラポールを築くのに大切な四つの要素のうちの「傾聴」についてお伝えします。

 コミュニケーション能力を高める近道は「上手に話すためのスキル」よりも、「上手に聞くためのスキル」を向上させることです。
 一般的に人は「話してもらいたい」という要求よりも「聴いてもらいたい」という欲求が強いからです。傾聴のスキルを身に付けることによって、格段に高いコミュニケーション能力を得られるようになってきます。

【傾聴の意味】
 「きく」という漢字は、二つあります。「聞く」と「聴く」です。

 「聞く」は、単に相手の話から、何らかの情報を集め、つかみ取ることを意味します。
 「聴く」は、知的な好奇心だけでなく情的な好奇心をもって、相手の心を受け止めようとすることを意味します。

 「聴」という漢字には、「耳」と「心」が含まれていることにご注目ください。
 相手の話に耳だけでなく、心も傾け、相手の心に寄り添い、相手が伝えたいことを理解しようとする聴き方を傾聴と言います。

【傾聴するときの姿勢】
 人が話をするとき、言語情報の10倍以上のメッセージを表情や態度として発信するといわれます。
 言語に表現できていない思いを捉える姿勢、相手の雰囲気、態度、身ぶり、手ぶり、表情、発声、イントネーション、感情を見落とさずに捉える姿勢が傾聴には必要です。
 そして、先入観を持たずに聴く、価値観や判断基準をなくして聴く、アドバイスをせずに聴く、結論を出さずに聴くという点に注意します。

【傾聴されるとどうなる】
 相手は、安心して本音を語る、自分の考えが整理できる、思いがけない気付きを得る、潜在意識に触れる、力が湧き出すようになります。
 誰もが持っている「自分で答えを見つけ出す力」、それは傾聴するだけでも表れてくる可能性があります。

【傾聴のスキル】
 傾聴するためのスキルとして、うなずき、相づち、バックトラッキング(オウム返し)、要約、自分の価値観を捨てる、などの方法があります。

 特に、「うなずき」や「相づち」を入れながら聴くと、相手の話や気持ちなどを「受け止めている」「理解している」という態度を示すことになります。

 バックトラッキング、つまり相手の使ったキーワードをそのままオウム返しすると、相手はそのことについて考えを深めたり、話を次の段階へ進めたりすることができます。

 また、「つまり○○ということですね」と要約すると、相手は自分の言いたいことを整理することができます。
 相手が言葉で表現していない、背後にある感情を鏡のように返してあげると、相手は寄り添われていることを実感できます。

 聴く側は、自分をニュートラルな状態にし、可能な限り自分の価値観を手放し、または保留にします。これにより、相手は心を開いて本音を話すことができます。

【傾聴のスキルの応用】
 傾聴のスキルを身に付けたら、夫婦、親子などの家族との対話にも、伝道対象者に対する働き掛けにも、日ごろの教会活動にも大きく役に立つことが期待できます。

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 次回は、「共感」についてお伝えします。