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 「家庭力アップ講座」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

家庭力アップ講座 11
2章 心の姿勢⑥

(APTF『真の家庭』218号[12月]より)

家庭教育アドバイザー
多田 聡夫

4)「信頼残高」の預け入れ

②謝ること
 第2は、謝ることです。「ごめんなさい」と言えるかどうかは、家族に対しての主体性のバロメーターなのです。自分のイメージを気にしたり、地位にこだわってしまったり、他人の評価が気になったりして「謝る」ことをしない親がいます。はたして、「謝る」ことが自分のダメージになるのでしょうか? そんなことはありません。かえって家族に対して積極的に責任を持つことなのです。かえって、謝ることのない親の姿は、子供にとっては、幻滅してしまう姿なのです。親が、子供に謝ることで、子供は親を愛し許すチャンスを得ることになります。そうして何でも話し合える親子関係をスタートできるわけです。「早く謝る」ことが大切です。「あなたが謝ったら、私も謝る」。これが一番よくないことです。

③いない人の悪口は言わない
 第3は、いない人の悪口を言わないことです。「私の親は、陰で私の悪口は、絶対に言わない」という信頼は、子供にとって非常に高い信頼残高を子供の心に預け入れることが出来ます。

④約束して守る
 第4は、約束し、それを守ることです。誕生日会を守る。ミーティングすることを守る。だいたい、約束を破るのは、親の方が多いのではないでしょうか。約束を守れない時は、子供の目を見て「ごめんね。約束したのに用事が終わらなくてね。必ず、今日の夜に時間を取るからね」と謝って、伝達してみてください。子供は、私の親が必ず約束を守り、時間を私の為に取ってくれるという、信頼残高は、重要なのです。そのとき、子供は、親の話を聞く余裕が出てくるのです。

⑤許す
 第5は、許すことです。これも大きなポイントとなります。他人を「許す」までは、被害者であり続けるのです。ですから、被害者であるかどうかは、相手が決めるのではなく、自分自身が決定するのです。被害者である限り、心は成長することが出来ないのです。親子の関係の中で、許すことが出来るようにしてください。

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■親の感想を紹介します

 「子供に対して、自分が経験してきた人生の中で正しい方向へ行けるようにと、迷い道に入ってしまわないようにと思って、『このように行くんだよ』と教え、よき人格者となってほしいと思ってやってきましたが、それが本当に大きな間違いであったことに気づかされました。子供によく『お母さん、否定ばかりしないで』と言われるのですが、『そんな気持ち全然ない』と言っても、不機嫌になるだけで、気持ちが通じ合えないことを悩んできました。それでは、感性が育たないということがわかりました。これからは、子供のことをよく聞いてあげ、子供の気持ちをつかむように努力していきます」

 「子供の心を育てる。良い人間関係を築くためにと思って参加しましたが、いろいろ聞いている間に、3歳の娘に対してよりも、夫との夫婦関係について考えさせられました。気を使って言いたいことが言えなかったり、夫の気持ちを聞きたいと思うと、ダイレクトに聞いてしまい、返答にこまらせたりと、上手な話し合いが出来ないでいます。自分の愛情を伝える努力はしてきましたが、いまひとつ伝えられていない感じがあったので、今日学んだ『信頼残高を預け入れる行動』を心がけてやっていきたい。謝ること、許すこと、約束して守ること、頑張りたいと思います」

 「親として子供にはいつも、目配り・気配りしているつもりでも、一方的だったり、自分本位の動機だったり、反省すべきことが多い毎日です。でも『信頼残高』ということばを教えて頂き、より具体的に生活の質を変えていくことを意識したいです。これは家族以外でも、どこにでも通じる原点だと感じます」

 「家庭においても、どんな家族になっていきたいか、理想の家庭を成して行くために話し合いを持っていこうと思います。相手を変えよう、理解させようではなく、私自身を常に見つめながら、愛の人となっていけるよう努力して5つの項目を実践しながら、信頼残高を多く残せるように頑張ります」

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 以上の5項目を中心に、家族の一人ひとりに信頼残高をどんどんと預け入れて行く生活に挑戦してみましょう。それが、「自分が変わる」ことにつながるのです。そうすれば、何でも話し合える家族関係の土台作りが出来ていくのです。もちろんすぐにできるわけではありません。相談しながら、話し合いながら自分を変える努力をしてみることです。そして家族をあきらめることなく、また「理想家庭」という夢をあきらめないようにしましょう。